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◆外で適度に体を動かす

 適度に体を動かし、汗をかくことは、冬を元気に過ごすために必須です。エアコンのきいた室内にいることが多いと、汗をかく機会が減り、夏らしい暮らしを送ることができなくなってしまいます。お仕事などで室内にいる機会が多い方は、エアコンの冷えた風が直接体に当たらないように気を付けて生活しましょう。

 室内の生活が多くなりがちですが、日光を浴びながら散歩をしたりレジャーを楽しむこともおすすめです。

 また、シャワーだけで済まさずに浴槽に入って体を温めることも効果的です。夏はついついシャワーで済ませてしまうことも多いと思いますが、冷える室内にいた日には特に活用していただきたい方法です。

 10〜15分ほど、浴槽に入ってゆっくり体の芯まで温めることで、腰から下の冷えを防ぐことができます。夏にも関わらず、腰や膝だけ冷えている感覚のある方は、浴槽に入る養生法をぜひご活用ください。

◆汗をかいた後に食べるべき食材

 水分だけでなく、汗をかいた後は気や血を補うことも大事です。薬膳では汗をかくことで、体のエネルギーである「気」や、汗の生成の際に関係してくる「血」も不足すると考えられています。汗をかいた後は、体が疲れを感じやすいことからも、気が関係していると体感できますね。

<潤いと気を補う食材>
ぶどう、パイナップル、ライチ、マンゴー、パパイヤ、ココナッツ、キウイフルーツ、りんごなど

<血を補う食材>
赤身の肉、レバー、カツオ、イカ、タコ、ほうれん草、しめじ、人参、卵、黒豆、黒ごまなど

 潤いと気を補う食材は、フルーツが中心ですが、意識して食べないとなかなか普段から口にする食材ではないかもしれません。暑い日の野外でのレジャーや、汗をたくさんかいた日には、積極的に活用してみてください。フルーツ類は調理の必要がないので、食後のデザートや、おやつ休憩の際に利用してみてもいいでしょう。汗が止まらない症状がある方にも効果的な食材です。

 血を補う食材は、夏の不眠にも効果があります。なかなか寝付けなかったり、しっかり寝ても疲れが取れない方は、血の不足が関係しています。野菜にも血を補う効果はありますが、特に症状を強く感じる際には動物性の食品も意識的に取り入れてみましょう。

◆夏の過ごし方で冬の体調が変化

 薬膳では季節に合わせた養生法が大事だと考えられています。季節ごとの養生をしっかりと意識することで、次に訪れる季節を元気に過ごすことができます。特に四季による気候の変化がはっきりと感じられる日本では、季節にそった食事や生活養生が昔から重要視されてきました。

 現代では流通機能の充実や、食品栽培環境の変化から、季節に関係なく様々な食材が入手できるようになりました。しかし、その季節を元気に過ごすための食材、合わない食材の境目が曖昧になってきたのも事実です。

 特に近年では、連日の猛暑で梅雨から夏に体調を崩す方が増えていると言われています。暑さを乗り切るために、今回ご紹介した食事での養生法や生活の工夫を取り入れて、自分でできる対策をしてみてはいかがでしょうか。

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さとうあい

宮城県仙台市在住の料理家。フードコーディネーターや学校講師などを通して飲食業界に携わること20年以上。現在は国際中医薬膳師の資格を取得し、子どもの不調を整える薬膳料理講座や、企業へのメニュー提案などをする傍ら、レシピライターとしても活動中。

次の話を読むサバやタコ、冬瓜を使った薬膳レシピ 残暑とエアコンつけっぱなしの環境で食欲がなく胃腸の疲れを感じる時に

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Column

さとうあいの薬膳レシピ

季節の変わり目や、疲れなどからくる体調の変化に薬膳料理はいかがでしょう。
身近な食材を使った薬膳料理を、料理家のさとうあいさんが教えてくれます。
難しい準備は不要! 簡単でおいしいレシピの数々に体も喜ぶはず。

2024.08.28(水)
文・撮影=さとうあい