いつの時代も美味しいものはホテルにある
◆京王プラザホテル[東京・新宿]

いつの時代も、ホテルは常に新しい食の喜びを伝えてきました。
日本初の超高層ホテルとして1971年に開業した京王プラザホテルも、日本のレストラン界に大きな足跡を残してきた美食の館。半世紀を超えて受け継がれてきた美味を味わうことは、まさに唯一無二の至福体験となります。

館内に多彩なレストラン&バーを擁するこのホテルで、一度ならずと訪れたいのが中国料理「南園」。数々の有名シェフを輩出してきた名店であり、現在厨房を率いるのはこの道一筋約30年の今野昌文さん。
現代の名工に選ばれ、黄綬褒章を受章した広東料理の第一人者・李国超氏から薫陶を受けたひとりです。

「中国料理は鍋の振りかたひとつとっても、体に覚え込ませるのに長い修業が必要となります」(今野料理長)。
そんな料理人たちの数多の研鑽とともに受け継がれてきた伝統メニューには、時代を超越してゲストを魅了する美味しさがあふれています。

名物「南園特製あさり入りチャーハン」には、オイスターソースや具材の旨みが凝縮し、深いコクを秘めた甘酢あんをまとった「酢豚」も無性に食べたくなる名作。夏の「五目入り冷やしそば」も必食です。


また、開業当初より変わらぬレシピで愛されてきた焼き菓子もあります。それがフードブティック「ポピンズ」の「コペンハーゲナー」。

開業時の製菓担当料理長ハルトムート・カイテルさんが考案した逸品は、丁寧に時間をかけて焼き上げるため、作られるのは週に1度のみ。約40箱限定という “特別感” も人気の理由です。

さらに日本の工業デザイン史にその名声を響かせる巨匠・渡辺力氏が設計を手がけたメインバー「ブリアン」をはじめ、伝統を受け継ぐ空間も魅力的な京王プラザホテル。

今春には黄綬褒章を受章した歴代の料理人が9名を数えるに至り、その美食の歴史はさらに輝きを増しています。
高層の眺望を満喫する客室での滞在を楽しみながら、館内の美味めぐりを満喫してみたい!
京王プラザホテル
電話番号 03-3344-0111
宿泊料金(1室)/スタンダード 41,400円~、プレミアグラン 63,600円~(ともに2名利用)
アクセス/新宿駅西口から徒歩約5分
keioplaza.co.jp

Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2025.06.20(金)
文=矢野詔次郎 写真=志水 隆
CREA Traveller 2025年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。