この記事の連載

 痛い感覚はないけれど、喉に不快な詰まり感があることを経験したことはありませんか? 病院で検査をしても、原因がわからない喉の異物感。薬膳の考えでは、この異物感を「梅核気」と呼びます。

 まるで梅の種が喉に詰まったような感覚になることから、例えられた症状名ですが、別名を「ヒステリー球」とも呼ばれ、ストレスが大きく関係していると言われています。長期的な不快症状に苦しむ方もいますが、時々不規則に症状が出るという方も多いようです。

 薬膳では、身体は「気」・「血」・「水」3つの要素で支えられていると考えられています。3つの要素が過不足なく存在し、滞りなく流れることで健康を保つことができるという考えです。喉の異物感の原因は、「気」の滞りによる症状だとされています。

 気の巡りの悪化による症状ですが、梅核気以外にも

・イライラしやすい
・怒りやすい
・ゲップやおならが多い
・生理前にイライラする
・食欲の乱れがある
・精神的に不安定になりやすい
・緊張しやすい

 などの症状が該当します。これらの項目に思い当たる症状がある方は、ご自身の身体からのストレスサインだと考えるといいでしょう。気の滞りは、ストレスの多い環境で生活していることや、我慢することが多い性格、寝不足、疲れなどが原因しています。

 わかってはいても、すぐには環境を変えられなかったり、気持ちのコントロールが難しいと感じる方に、今回は食べ物でのケアや、生活養生法をご紹介します。日々のストレスコントロールに、ぜひお役立てください。

◆梅核気ケアにおすすめの食材

 気の巡りをアップする食材として代表的なのが、柑橘類です。みかん、レモン、グレープフルーツ、柚子、シークワーサーなどです。

 また、セロリや紫蘇などの、香りのある香味野菜も効果的です。ポイントは香りを嗅いだ時に、心地いいなと感じたものを食べること。嫌いな香りや食材は、無理に食べようとしなくても大丈夫です。ご自身が負担なく取り入れられる方法を試してみましょう。

 イライラ感があり、精神的な抑うつ感や不安感を同時に感じている方は、しじみ、あさり、牡蠣、ホタテなどの貝類や、イカ、イワシ、サバなども活用してみましょう。

 冬に旬を迎える牡蠣は、鍋料理にも使いやすい食材です。あさりやイワシ、サバは缶詰商品も多数販売されているので、常備食材としてストックしてもいいでしょう。いつでも使える食材が常備してあると、喉の異物感を感じた時にサッとケアできるのも魅力ですね。食材でのケアは、悪化する前がおすすめです。

◆梅核気ケアにおすすめの薬膳茶

 料理が苦手な方や、時間のない方におすすめなのが、お茶として取り入れる方法です。薬膳茶といっても、ハーブティーのように飲みやすく、取り入れやすいものも多々あります。職場や、外出先でも持ち歩けるので、お気に入りのお茶を活用してみましょう。

 気の巡りアップにおすすめな茶葉は、ジャスミン、菊花、ローズ、ミント、ラベンダー、金木犀、カモミールなどです。

 こちらも食材同様、好みの香りや味のものをセレクトするようにしましょう。苦手なのにもかかわらず我慢しながら飲むと、飲むこと自体が新しいストレスを生んでしまうので気を付けましょう。

2023.12.29(金)
文・撮影=さとうあい