ラグジュアリーホテルブランド 「星のや」 が掲げる“土地と共鳴する世界観”を掘り下げる連載。第4回のテーマは「土地と共鳴する森を識る」。
富士信仰の歴史が今も息づく「星のや富士」の地。人々が祈りを捧げてきた富士山を仰ぎ、その麓の森を歩くとき、忘れかけていた感覚が静かに呼び覚まされていく。
森のリズムで心の静けさを取り戻す
木々の呼吸と同化し本来の自分へと還る時間
河口湖を望む丘陵に溶け込むように建つ「星のや富士」は、日本初のグランピングリゾート。標高840~940メートルの富士箱根伊豆国立公園に位置し、自然と共生する滞在空間が、森と調和するように設えられている。
丘の下のレセプションは、非日常への入り口。ここでカラフルなリュックを選び、森でのアクティビティに役立つ道具を詰めることから、滞在は始まる。小さな灯りが足元を照らす山道を上ると、斜面に階層的にウッドデッキが配置された「クラウドテラス」に辿り着く。
その空中ベンチに身を預ければ、自ずと空を見上げる姿勢となり、自然と一体となって森の呼吸を感じることができる。最上部のラウンジでは、1日中焚き火が絶えない。ゆらぐ炎を見つめ、薪のはぜる音を聞くうちに、感覚は静かに研ぎ澄まされていく。
客室は全室レイクビューのキャビンスタイル。大きな窓とテラスリビングが内と外を緩やかに繋ぐ室内では、風や光の繊細な移ろいが感じられる。
初夏には針葉樹の深緑に若葉の黄緑が重なり、朝晩の涼風が思考をほどく。双眼鏡を手に窓外を見渡せば、思いがけない野鳥の気配が立ち現れる。
ここでの滞在は、人に誇示するための贅沢ではない。野鳥がさえずる森の豊かさに触れ、デジタル機器や過剰な情報から解き放たれ、自らの輪郭を取り戻す時間である。
自然のリズムに身を委ねたとき、心は本来の静けさを取り戻すのである。
星のや富士
所在地 山梨県南都留郡富士河口湖町大石1408
電話番号 050-3134-8091
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/hoshinoyafuji/
「脱デジタル滞在・富士~魂を清める~」
利用人数 1日1組(1~2名)
料金 1名 54,450円 ※宿泊料別
内容 御師の家で牛王刷り体験と昼食、北口本宮冨士浅間神社での参拝、「馬返し」からのトレッキング、夕食、焚き火おこしと瞑想が含まれる。
※天候などにより変更、中止の可能性あり
CREA Traveller 2026年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
