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美しく華やかで、おいしいものが彩り豊かに閉じこめられたパフェ。その人気は止まるところを知らず、美しさも味わいも日々磨きがかけられ、進化しています。
グラスのなかで醸し出されるハーモニーは、まさにparfait(フランス語で「完璧」の意味)!
今回は、麻布台ヒルズにあるフランスの名パティスリーへ。
現代フランス菓子の祖、ガストン・ルノートル

現代フランス菓子の祖と言われる故・ガストン・ルノートル氏が開いた、パリ最高峰のメゾンのひとつとも称される「ルノートル」。氏の亡きあとも、クリエーション・ディレクターに就任したギー・クレンザーがその歴史やフィロソフィーを受け継ぎ、伝統を守りつつ進化と革新を継続。素材を厳選し、ていねいな手仕事によって生み出される質の高いお菓子は、グルメに精通したパリの人々、そして日本の人々に今もなお愛され続け、暮らしの喜びを届け続けています。

その「ルノートル」のなかでも、パルフェ(パフェ)が味わえるのは、2024年10月にオープンした「ルノートル 麻布台ヒルズ店」だけ! ルノートルを代表する生菓子が洗練されたパフェに姿を変え、定番の「パルフェ・フイユ・ドトンヌ」とともに、季節替わりのパルフェもそろいます。
いずれもフランスで親しまれる、球状のアイスクリーム2~3種とクリームやソースを合わせた「クープ・グラッセ」(冷たいグラスデザート)をベースに、シンプルでそぎ落とされた見た目と味わいを追求。それによって素材の味や香りを際立たせ、高級感のある洗練された味わいを生み出しています。
◆パルフェ・フイユ・ドトンヌ

「フイユ・ドトンヌ」は、約半世紀に渡って愛され続ける「ルノートル」のスペシャリテ。
芳醇なビターチョコレートのムースと、サクサク、軽やかなメレンゲを組み合わせ、葉を思わせるビターチョコレートのコポー(削り取るようにして形作られたチョコレート細工)をのせて。味わいは濃厚でありながら食後感は軽く、飽きることのないバランスの取れたおいしさが魅力的です。

これを再構築したパルフェは、カカオが力強く香り立つ自家製のチョコレートアイスクリームと、サクサクのメレンゲ、エスプーマで軽やかに泡立てた生クリームを背の高いグラスに重ね、トップには葉をイメージしたチョコレートのコポーを。らせん状に並ぶメレンゲが、遊び心と美しさを感じさせます。

添えられたビターなカカオのソースをとろりとかけて味わえば、カカオの風味がより深まって、メレンゲとの相性も抜群! ビターですっきりとした余韻が心地よく広がります。

2025.08.08(金)
文=瀬戸理恵子
写真=鈴木七絵