この記事の連載
美しく華やかで、おいしいものが彩り豊かに閉じこめられたパフェ。その人気は止まるところを知らず、美しさも味わいも日々磨きがかけられ、進化しています。
グラスの中で醸し出されるハーモニーは、まさに“parfait”(フランス語で「完璧」の意味)!
このシリーズでは、今注目の心躍る魅力的なパフェをご紹介します。
パフェの繊細な層を味わえるのは日本人ならでは
鎌倉駅から御成通りを歩いて約2分。2021年9月にオープンした「レガレヴ」は、フランスの本格的なアシェット・デセール(皿盛デザート)を気軽な雰囲気で味わえる、人気のカフェレストランです。
オーナーシェフの佐藤亮太郎さんは、26年間に渡ってフランスのパティスリーやレストランでパティシエとして活躍。フランス各地のレストランやカフェのデザートやお菓子のコンサルティングも数多く手がけています。名だたるセレブや食通たちをうならせてきたその味わいと経験、エスプリをそのままに表現される「レガレヴ」のデザートは、王道を守りつつもオリジナリティにあふれ、“今のパリ”の香りでいっぱい。フランス「ダマン・フレール」社の紅茶とともに、ゆったり味わえます。
そんな百戦錬磨の佐藤さんが、「レガレヴ」を開くまで、実はつくったことがなかったというのがパフェです。
「パフェは日本で生まれたデザートで、フランスのものではないんです。あるのは、アイスクリーム数種類に生クリームやソースを添えた『クープ・グラッセ』くらい。だから僕もつくったことがなくて、レガレヴを開いてからリクエストをいただいて、初めてつくることになりました」と、佐藤さん。
「ひとつのグラスの中で層を重ねて表現される繊細さや複雑さは、日本人だからこそできる、日本人好みの表現だと思います。最初はとまどいましたが、言わなくてもこちらが意図した順番通りにお客様に食べていただけるのが、パフェのよいところ。狭くて窮屈ななかで味わいの流れを組み立てていくおもしろさを、やればやるほど感じています」
◆アプリコット、メロン、セージのパフェ
パフェは常時1~2種用意され、人気を集めているのが旬のフルーツを使ったパフェ。2024年6月~7月半ばには、「アプリコット、メロン、セージのパフェ」が登場します。
トップを彩るのは、翡翠色が美しいセージのアメと、セージとカソナードのパータ・フィロ(パリパリの薄い生地)。ふんわり軽やかなアマレットのエスプーマの下には、アプリコットとセージのソルベと、オレンジとレモンの果汁を隠し味に加えた青肉メロンのソルベが並び、清々しさが口いっぱいに広がります。
「アプリコットにセージを合わせると、フランス人が考えるオリエンタルなニュアンスが加わって、よく合いますね。青肉メロンともマッチして、さわやかさが感じられます」と、佐藤さん。さらに食べ進めると、ホワイトチョコレートでコーティングされたクランチがザクザクした食感のアクセントを添え、バニラのクレーム・ブリュレとバニラのガナッシュ・モンテ(ホワイトトチョコレートを使った、口溶けのよいクリーム)の豊かな香りとコクをプラス。
最後は、バニラとセージが香るゼリーと、バニラ、カルダモン、シナモンで軽くコンポートにしたアプリコットと、フレッシュな赤肉メロンが混じり合い、みずみずしさが弾けて、まるでさわやかな南仏の風が体中を吹き抜けるかのよう! 汗がすっと引いていくのを感じます。
合わせる飲み物は、ダマン・フレールのブレンドティー「ニュイ・ア・ヴェルサイユ」がおすすめ。緑茶をベースにキウイ、黄桃、オレンジの花、スミレの花などの香りが漂い、パフェのフルーティさと清々しさにやさしく寄り添います。
2024.06.05(水)
文=瀬戸理恵子
写真=鈴木七絵