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美しく華やかで、おいしいものが彩り豊かに閉じこめられたパフェ。その人気は止まるところを知らず、美しさも味わいも日々磨きがかけられ、進化しています。
グラスの中で醸し出されるハーモニーは、まさに“parfait”(フランス語で「完璧」の意味)! このシリーズでは、今注目の心躍る魅力的なパフェをご紹介します。
今回は、鎌倉・小町通のレストランの定休日に開かれるパフェテリアです。
ガストロノミーのデザートをパフェで

観光客でにぎわう鎌倉・小町通りから小道に入ってすぐのところにあり、フレンチを融合させた隠れ家的イタリアンレストランとして人気を集める「DRAQUIRE(ドラキア)」。そのレストランを舞台に、週2日の定休日を中心にオープンするのが、「DRAQUIRE」のシェフ・パティシエ、三浦萌(めばえ)さんが腕をふるう「パフェテリアリリア」です。
「ガストロノミックなコース料理を食べ、そのデザートを味わう機会はなかなかないかもしれません。でも、カフェ文化が根付いている鎌倉で、パフェならば気軽に楽しんでいただけるかもしれない。そう考えて、2023年の夏から『パフェテリアリリア』をスタートしました。パフェを入り口に、レストランにも興味を持っていただけたら」と、「DRAQUIRE」オーナーシェフの山田尚立さんはオープンのきっかけを語ります。

パフェのメニューは、常時2種類。レストランで提供されるアシェット・デセール(皿盛リデザート)の技術や素材、感性をそのままにつくられ、毎月1種類ずつメニューが変わります。
「フレッシュなフルーツやアイスクリームを山盛りにするのではなくて、フルーツを主役にしながらも、構成するパーツをひとつひとつ調理して、最後まで飽きさせない味わいをつくることを大切にしています」と、三浦さん。焼き菓子も必ず交え、モンブランやタルトといったケーキをパフェとして再構築することも多いといいます。
◆山形県産佐藤錦とキルシュのマリアージュパフェ

2024年6~7月提供の「山形県産佐藤錦とキルシュのマリアージュパフェ」は、山形産のさくらんぼ「佐藤錦」と、キルシュ(さくらんぼから造られる蒸留酒)の組み合わせ。
チェリーソースをかけたホワイトチョコレートのアイスクリームと並んで、クレーム・シャンティイ(ホイップクリーム)の上にちょこんとのせられたさくらんぼの、なんと愛らしいこと! ちょっとレトロな趣も感じさせ、思わず微笑んでしまいます。

チェリーのチュイルに仕切られたグラスの中で、深みある鮮やかな色彩を放つグリオットとローズマリーのソルベには、ディルの葉を添えて。ハーブの合わせ方がレストランらしく、青みのある香りがさわやかさを漂わせます。
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そして、ホワイトチョコレートをかけたヘーゼルナッツが食感と甘みのアクセントを添え、まわりにはみずみずしい佐藤錦が。。さらに、キルシュがふわりと香るパンナコッタと、酸味が力強いグリオットとカシスのムースがコントラストを成しつつ混じり合い、果実味豊かでふっくらとしたキルシュ風味のアメリカンチェリーのコンポートと調和します。
最後は、ビターチョコレートと塩のクランチが現れ、ほろ苦さと塩気、ザクザクとした食感が全体を引き締めて、満足感のある味わいに。
「佐藤錦の淡い味わいを邪魔しすぎないようにしつつ、アメリカンチェリーやグリオット、カシスも使って印象を強め、ハーブやキルシュで大人っぽいパフェに仕上げました。いろいろな味わいや食感、温度の変化を楽しんでいただけるかと思います」と、三浦さん。
2024.06.09(日)
文=瀬戸理恵子
写真=鈴木七絵