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 美しく華やかで、おいしいものが彩り豊かに閉じこめられたパフェ。その人気は止まるところを知らず、美しさも味わいも日々磨きがかけられ、進化しています。

 グラスの中で醸し出されるハーモニーは、まさに“parfait”(フランス語で「完璧」の意味)! このシリーズでは、今注目の心躍る魅力的なパフェをご紹介します。

 今回は、清澄白河の新店「Maison heureux(メゾンウル)」を訪ねました。


人気店でパフェの腕とセンスを磨いた

 2024年4月、東京・清澄白河に誕生した「Maison heureux(メゾンウル)」は、旬のフルーツを使ったパフェとお菓子が主役のスイーツ店。コンクリートの壁を生かしたシンプルでモダンな店内には、美しいドライフラワーが飾られ、ナチュラルで温かな雰囲気を醸し出しています。

 シェフ・パティシエ/ディレクターを務めるのは、石内恵さん。東京・代々木上原にある『パティスリー ビヤンネートル』で働いていたとき、オーナーシェフの馬場麻衣子さんがつくるパフェに出合い、その魅力に惹かれたといいます。「その後、馬場さんが銀座『Beauty Connection Ginza Fruits Salon(ビューティーコネクションギンザ フルーツサロン)』(現在は閉店)のレシピを監修されることになり、このお店のチーフパティシエ/店長を任せていただきました」。

 2023年7月の同店閉店後は、故郷に戻って仕事をしようと考えていたそうですが、お付き合いのある地方の農家から、東京の店に自分たちの果物を卸していることがステータスでもあり、励みにもなっていると聞かされ、東京に残ることを決意。「Maison heureux」で新たなスタートを切りました。

 「いつも素晴らしい果物を届け、よくしてくださる農家のみなさんのために、頑張りたいと思いました。農家さんとのお付き合いは、私のなかでとても大切にしていること。農家さんが育てたフルーツをたくさん使ってパフェをつくり、たくさんの方に食べてもらってそのおいしさを知ってもらいたいと願っています」と、石内さん。

 パフェの提供期間もあらかじめ区切らず、フルーツの旬の時期に合わせて柔軟に設定するといい、「そういうことができるのは、企業ではなく小さなお店だからこそのメリット。その果物が一番おいしいときにパフェにして味わっていただけるのは、うれしいことですね」。

2024.06.26(水)
文=瀬戸理恵子
写真=鈴木七絵