この記事の連載

 土曜日の深夜23時から生配信サービス「TwitCasting」で放送中の怪談語りチャンネル『禍話(まがばなし)』。2016年から開始した同番組は、怪談の語り手である北九州の書店員・かぁなっきさんと、その後輩であり聞き手の映画ライター・加藤よしきさんコンビの軽妙なトーク、そしてそのおぞましい怪談の数々がホラーファンの心を掴んできました。

 今回はそんな禍話から、中学校の同窓会で見つけた“あるVHSテープ”にまつわる恐ろしいお話をご紹介します――。(前後篇の後篇)

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段ボールから見つかったビデオテープ

「みんな~! ちょっとサプライズで当時の段ボールをいくつか持ってきたから、良かったらこれ見てみて!」

「えー! 体育祭の時に作ったパンフだ!」

「これ、あたしが表紙のイラスト描いたんだよねぇ~」

 現役教師の同級生が気を利かせて持ってきてくれた思い出の品が詰まった段ボールたち。

 ふつふつとUさんの心の中に言い知れない嫌悪感と罪悪感が湧いてきたそうです。

「あのさ、俺もう帰るよ」

「あっ! これ放送部で作っていたビデオテープじゃないか?」。Iさんが声をあげました。

 薄汚れた半透明のケース。黒い本体の側面には、簡素なラベルテープに黒いマジックで《●●年 夏》と書かれていました。

 と、ここでUさんの記憶はプツリと途切れているのだそうです。

2025.08.12(火)
文=むくろ幽介