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美しく華やかで、おいしいものが彩り豊かに閉じこめられたパフェ。その人気は止まるところを知らず、美しさも味わいも日々磨きがかけられ、進化しています。
グラスの中で醸し出されるハーモニーは、まさに“parfait”(フランス語で「完璧」の意味)! このシリーズでは、今注目の心躍る魅力的なパフェをご紹介します。
今回は日本橋で話題を振りまく「teal」へ。
カカオの複雑で繊細な風味がフルーツと
ロマネスク風のアーチ形の窓が美しく並ぶ、昭和初期に建てられた日本橋兜町のオフィスビル「日証館」。2021年、この建物の1階にオープンしたのが、シェフ・パティシエでありショコラティエの眞砂翔平さんと、パティスリー「ease」のシェフ・パティシエを務める大山恵介さんがタッグを組む、チョコレートとジェラートの専門店「teal(ティール)」です。
イートインでは、眞砂さんが手掛ける季節のパフェが大人気。常時1~2種用意されています。
「パフェのコンセプトは、『カカオとフルーツ』です。チョコレートではなくてカカオというのがポイント。ただ甘くて苦いだけではないカカオの酸味やフルーティーさ、風味を引き出して、旬のフルーツと合わせてどうおいしくできるかを追求しています」と、眞砂さん。
カクテルグラスのような浅めのグラスに盛り付けるのは、一気に底までスプーンが届くことで、上から順に食べることに縛られず、自由に味わいを楽しんでもらいたいから。グラスの上にも高さを出して層が重ねられた姿は、凛として美しく、なんともフォトジェニックです。
「心がけているのは、見るからにおいしそうでありつつ、華やかでくっきりとしたデザインです。食べる前に撮影されるお客様が多いので、5分くらいは崩れずに耐えられることも大切なポイントですね」と、眞砂さんは笑います。
◆メロンとカカオのパフェ
2024年5月下旬からは、完熟メロンをふんだんに使った「メロンとカカオのパフェ」が登場しています。トップを飾る、アマゾンカカオのパウダーを使ったほろ苦いパイと、フルーティーで酸味のあるアマゾンカカオのジェラートには、ピスタチオのクリームをとろりとかけて。
「まずはしっかりとしたチョコレートの味わいで、チョコレート屋らしさを感じていただきたくて」と、眞砂さん。その下から現れるカカオパルプ(カカオの果汁)のジェラートが、ライチを思わせる華やかでフルーティーな香りを放ち、メロンのさわやかさをより一層深めます。
そして、カモミールのグラニテが「途中でお茶を飲むかのように」口の中をリフレッシュさせ、バニラのクランブルが食感のコントラストを演出。アマゾンカカオのクレーム・シャンティイに、バラとアプリコットのソースのきゅんとした酸味とエレガントな香りがアクセントを添えます。
最後は、レモンとオレンジハチミツとエルダーフラワーのジュレ、ノンアルコールのジンでマリネしたメロンが青みのある清々しいハーモニーを醸し出し、爽快な後口。「デザートをコースで楽しむようなイメージで、途中でお茶をはさみつつ、重厚感のあるものからすっきりしたものへと味わいの流れを組み立てました。
バラやエルダーフラワーなど、香りの要素はそれぞれ強くしすぎず、どことなく香る程度に加えています。それによって心地よく調和し、メロンのおいしさがより一層際立つかと思います」。
2024.06.10(月)
文=瀬戸理恵子
写真=鈴木七絵