昨年8月、希少がんである乳がん“浸潤性小葉がん”のステージ3であることを公表した、梅宮アンナさん(52)。現在は、母のクラウディアさん(81)と、ときどき米国から帰国する娘の百々果さん(23)と生活をともにしながら、治療と仕事を両立させている。

 がん保険や高額療養費制度を選んだ理由について、語っていただいた。(全3回の1回目/続きを読む)

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がん保険の後悔

 がんになってからやったことの一つに保険の見直しがある。民間の保険には二つ入ってはいたものの、吟味に吟味を重ねて「これだ!」と決めたわけじゃなかった。ひとつは外資系で、加入したらもれなくプレゼントされる“アヒルのぬいぐるみ”が目当て。もうひとつは「どちらも似たり寄ったりだろうけど、二つくらい入っとけばいいか」と軽い気持ちで加入した。

 契約したのは6年前で、月々の支払いは、ふたつ合わせて1万円ほど。まったく深く考えることなく入っただけに、毎年送られてくる「契約内容のお知らせ」もまともに封を切ったことがなかった。そんな私だったけど、つくづく思い知った。

「がん保険はいる。生命保険も必要だ」

 深いケガを負ったり、大きな病気をして、思うように体が動けなくなってしまったら、働くことすらままならない。それに、どんなに体が大変になろうとも、家賃、ローン、水道光熱費、食費と、毎月たくさんのお金が出ていく。幸いにも払っているローンは車だけだけど、私はフリーランス。会社勤めの人とは違って、給料の7割近くがもらえる傷病手当金のような保障はない。だからこそ自分でよく考えて保険選びをする重要性を痛感した。がん治療が始まってからは契約書を見ながらまこちゃん(マネージャー)とよく保険の話をした。

「私のがんって保証対象になっているのかな?」

「症例数の少ないがんだけど、放射線治療はカバーされるみたいだよ。でも抗がん剤治療はカバーされないみたい」

「入院費用は1回分だけしか出ないみたいだね」

2025.07.24(木)
文=平田裕介