〈個室入院費は90万円、元旦の治療は日程をずらし…梅宮アンナ(52)が明かす、がん保険の後悔「残せるものがあるならなんだって残しておきたい」〉から続く
昨年8月、希少がんである乳がん“浸潤性小葉がん”のステージ3であることを公表した、梅宮アンナさん(52)。現在は、母のクラウディアさん(81)と、ときどき米国から帰国する娘の百々果さん(23)と生活をともにしながら、治療と仕事を両立させている。
がん保険や高額療養費制度を選んだ理由について、語っていただいた。(全3回の2回目/続きを読む)

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ラグジュアリーな医療制度
がんになってから1年以上にわたって外来で治療を受け、30日ほど入院したけど、おかげで日本の医療制度の素晴らしさを味わい尽くすことができた。「医療を味わう」なんて言うと、語弊があるかもしれない。だけど、ここまで日本の医療制度にラグジュアリーを感じることがあるとは思ってもいなかった。
まず、ロケーションが素晴らしい。病院によっても違うだろうけど、建物のたたずまいやインテリアが立派だと気分が上がって、病気の苦しさや辛さをついつい忘れてしまいそうになる。なんだか、免疫が向上してくるというか、NK細胞とかキラーT細胞がドコドコと湧いてくるというか。恐怖しかなかった放射線治療を受けた部屋は別として、がんセンターに行って気が滅入ることはなかった。むしろ、行くだけで元気が出てきたといってもいいくらいだった。
最初に心を持っていかれたのは、CVポートの埋め込み手術を受けたとき。IVRセンターというカテーテルや針などを用いる治療をする部屋で手術が行われると聞いてドキドキしていたが、ドアがバーンと開いた瞬間に「え? 宇宙ステーションみたい」「なんだか、NASAっぽい」と思ってしまった。
宇宙ステーションもNASAも行ったことはないけど、あまりに非日常的でカッコいい風景にワクワクしてしまった。人によっては殺風景とか無機質な部屋にしか見えないかもしれないが、好奇心旺盛な私にとっては、目に飛び込むものすべてがまばゆい。病院に付き添ってくれたまこちゃん(マネージャー)も同じだった。
設置されている機器、機材がなにに使われるのかは見当もつかなかったが、それらから漂ってくる医学の粋、人類の英知みたいなものを受け止めまくっていた。
先生たちが着ている手術着もデザインが洗練されている。とくにがんセンターはあらゆるもののセンスがいちいち優れていて、私が着ていた病衣もパジャマと呼んでもいいくらいのデザインで、そういったところでも気持ちが上がった。
2025.07.25(金)
文=平田裕介