
直感を信じながらも、ときに慎重すぎるくらい確認してしまう。そんな意外な一面を持つ水上恒司さんが、話題の新ドラマ『シナントロープ』で挑むのは平凡な主人公。共演者とのやりとりから役への向き合い方まで、飾らない言葉で語ってくれました。
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共演者の坂東龍汰さんは、頼りがいのある先輩

――ドラマ『シナントロープ』は群像劇ということで、同世代の俳優さんが多く集まっています。現場でのコミュニケーションで意識していることはありますか?
僕は自分の芝居にいっぱいいっぱいなので、「円滑に」ということを考えて実践できるほど余裕はないのですが、一番大切なのは相手の芝居をじっくり見て感じて、ちゃんと向き合うということなのかなと思っています。仲良しこよしする必要はない。自分も含め、皆さんがこの現場に勝負をしに来ていることは忘れないようにしています。
相手の演技によって、「こういう演じ方もあるのか」「このように役の性格をとらえることができるのか」と気づかせてもらえるのは楽しいですね。みなさんのおかげで自分の考えを柔軟に広げられています。
――演技について共演者の方と話し合うことはありますか?
坂東(龍汰)さんとはよく話をしています。登場人物が多い物語なので「この役についてどう思いますか?」って聞くことも。僕の感覚を理解してくださる方なので、話しやすくて頼れる先輩です。

――では、ご自身が演じる役である主人公の都成剣之介はどんな人物だと分析していますか?
なんとなく大学に通っていて、これといってやりたいこともない。一言でいえば冴えない人間です。平凡、という言葉が一番しっくりきます。でも、僕のように表に立つ人間よりも、都成のほうがきっと多くの人に共感されるはず。何かを成し遂げようともがく姿に、心を動かされると思うんです。
都成を演じることで、ごく普通に見える人でも、それぞれの内面に哲学を抱えていることを伝えたい。僕自身の思いを託せるキャラクターだと感じています。
2025.10.06(月)
文=高田真莉絵
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=中村みつき
スタイリスト=藤長翔平