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 オダギリジョーさんが脚本、演出、編集を手掛け、社会現象を巻き起こしたドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』が、ついに映画に。主演の池松壮亮さんに、オダギリジョーさんとの絶妙な掛け合いや、脱線だらけの物語への向き合い方、そして未知なるものを楽しむ力を聞きました。


「コロナ禍を笑いとユーモアで突破するなんて、オダギリさんはすごい人」

――本作は、2021年から放送がスタートしたドラマ「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」の映画化です。最初にこのドラマの構想を聞いた時、まず何を感じましたか?

 オダギリさんと兄弟役で共演した『アジアの天使』という映画の撮影で韓国に滞在している時に、このドラマの構想を聞かせてもらったんです。ご自身が警察犬を演じ着ぐるみを着る予定であることや、警察犬のハンドラーからはおじさんに見えるけど、ほかの人からは犬に見えるというあらすじを。

 ちょうどパンデミックの始まりだったこともあり、「世界が混乱に満ちそうなときに、こんな作品をやろうとしているなんて、オダギリさんはやっぱりすごい人だ」と感じました。

 実はその時は冗談で話しているだけかと思っていたのですが、後日脚本を渡されて、びっくりしました。

――脚本を読んで、どんな感想を抱きましたか?

 最高だと思いました。自由で滑稽で、愛嬌に溢れていてユニークでした。こんな物語にはなかなか出合えないです。

 2020年代に入り、世界が大きく変わりつつあるとき、様々な困難を前に、オダギリさんは笑いとユーモアで打破しようとしているように感じました。そこには破壊から再生に向かうための飛躍的な力があり、生命力を促すような根源的な力があり、人生の困難に打ち勝つための力を秘めていて、生きるためのパンクな要素があると感じました。

2025.09.24(水)
文=高田真莉絵
撮影=榎本麻美
ヘア&メイク=内藤歩