心配性で慎重派だからこそ、自分の直感を信じる

――何が嘘で、何が本当かわからない、それが本作の大きな魅力です。水上さんご自身は、迷った時にどんな基準で決断されていますか?

 やっぱり直感ですね。直感に従って生きてきて、大きな間違いをしたことって実はほとんどないんです。努力を積み重ねてきた自分もいれば、怠けたい自分もいる。そんな両方の自分を客観的に見つめる、もう一人の「第三者的な自分」が判断している感覚があります。

――直感というよりも、むしろ冷静な自己分析に近い印象があります。

 そうなのかもしれないです。まわりの人の意見も聞いて、常に自分の考えをアップデートするように心掛けています。人の意見も聞く柔軟さを持っているのが一番なのかなって。いろんなデータがある方が判断しやすいですから。意見を求めた人の考えが自分と違う場合もありますが、そういったときは自分の声に正直に生きています。

 あと、「心配事の9割は起きない」という考えも大切にしています。

――たいていのことは起きないから心配してもしょうがない、という意味ですか?

 いや、残りの1割を徹底的に潰すようにしているんです。小さな頃、両親が共働きだったので鍵っ子でした。なので、一人で戸締りしなければいけない。そのために、何度も何度もきちんと鍵がちゃんとしまっているか確認する習慣があって。「閉めた!」と口に出してから家を出発していました。それくらい心配性で慎重派。もともと慎重だからこそ、最後の最後は自分の声を信じてあげられるようになったのかもしれません。

実直にコツコツ続けていけばやりたいことは見えてくる

――今後俳優として挑戦してみたいことはありますか?

 映画のスタジオの雰囲気が大好きなんです。映画という芸術作品を大勢の人が必死に作り上げていく空気感がたまらないんですよね。なので、無謀な夢だとは思いますが、いつか自分の撮影スタジオを作りたい。一体いくらかかるんでしょう(笑)。

 シビアなことを言うと、俳優って、自らプロデュースしたり、監督に挑戦したりしない限りは一生選ばれる立場。選ばれたことに感謝して、実直にコツコツ続けていたらきっと自分のやりたいことや目指す場所にたどり着けるんじゃないかと思っています。

水上恒司(みずかみ・こうし)

1999年生まれ、福岡県出身。2018年にドラマ「中学聖日記」で俳優デビュー。2020年の映画、『弥生、三月 -君を愛した30年-』、『望み』、『ドクター・デスの遺産 -BLACK FILE-』での演技が評価され、第44回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。ドラマ『MIU404』、大河ドラマ『青天を衝け』、映画『死刑にいたる病』などに出演。

ドラマプレミア23『シナントロープ』

2025年10月6日スタート
毎週月曜夜23:06放送
テレ東系ほかTVerでリアルタイム配信・見逃し配信
出演:水上恒司、山田杏奈、坂東龍汰、影山優佳ほか
原作・脚本:此元和津也

あらすじ
さえない大学生・都成剣之介のアルバイト先は街の小さなハンバーガーショップ「シナントロープ」。やる気のないオーナーに代わって、都成がひそかに想いを寄せる水町ことみ達8人のアルバイトが店を切り盛りしていた。そんなある日、突如“シナントロープ”が強盗に襲われる。水町らの必死の抵抗により、強盗は何も盗らずに逃走する。しかし、なぜかレジから現金が消えていた……謎が謎を呼ぶノンストップミステリー群像劇。

https://www.tv-tokyo.co.jp/synanthrope/

ジャケット 52,800円、中に着たシャツ 41,800円、パンツ 33,000円/サバイ(イボルブ 03-6823-5074)、Tシャツ 24,200円/チノ(モールド 03-6805-1449)、その他/スタイリスト私物

2025.10.06(月)
文=高田真莉絵
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=中村みつき
スタイリスト=藤長翔平