この記事の連載
◆カカオといちごのパフェ
2024年2~5月に提供されていた「カカオといちごのパフェ」は、眞砂さんの「ナポレオンパイを食べたい!」という思いから生まれたひと品。
色とりどりのバラの花びらとともに、アマゾンカカオのパウダーを使ったパイにのせられているのは、バニラの香り豊かなジェラートです。仕上げに、アマゾンカカオのオリーブオイルソースをさらりとかけて。パイの下にはホンジュラス産カカオ「マヤンレッド」のジェラートと、ユズと和紅茶のシロップをしみこませたカカオのビスキュイが配し、まわりにはいちごをたっぷりと。
「ナポレオンパイを食べたときの満足感を再現したくて、いちごをぜいたくに使いました。アマゾンカカオのオリーブオイルソースがフレッシュなイチゴの旨みを引き立て、ほんのり香るユズと和紅茶がさっぱり感を添えます。マヤンレッドは、トロピカルでありつつナッティ感もあるバランスのよいチョコレートで、アマゾンカカオに比べて風味がやさしく、イチゴとよく合うと思います」と、眞砂さん。
グラスの中には、コク深いティラミスクリーム、カカオハスク(カカオの種皮)を煮出した旨みのあるジュレ、果実感あふれるイチゴとフランボワーズジャムのマリネを層に重ね、カシスとバルサミコ酢のソースの酸味と力強い果実味をアクセントに。
ケーキを味わうかのようなリッチさとインパクトを感じさせつつ、ジュレが口のなかをさっぱりとさせ、ふくよかな香りの余韻とほどよい満足感を残します。
「パフェの魅力は、アシェット・デセールを気軽に楽しめて、アイスクリームがのせられるなど、ケーキよりも表現の幅が広くて自由なところ。嫌いな人はあまりいないのではないかと思います」と話す、眞砂さん。
大切にしているのは「香り」とだと言い、多彩な香りを織り交ぜて主役となる素材のおいしさを引き立てるのが、眞砂さんの真骨頂。
「ひとつの香りをはっきり分かるように加えて、すべてがその香りになってしまうのは嫌なんです。『なんとなく香るかな』というくらいに加えるのが、ちょうどいい。欧米ではヴィヴィッドなカラーを使うのに対し、日本では薄い色やくすんだ色をよく使うのと同じように、味や香りの表現も欧米に比べて日本は繊細。その意味で、日本らしいパフェなのかな、と思います」。
teal(ティール)
所在地 東京都中央区日本橋兜町1-10 日証館1F
電話番号 03-6230-9413
営業時間 11:00~18:00
定休日 水曜
instagram @teal_tokyo
名作パフェ図鑑
2024.06.10(月)
文=瀬戸理恵子
写真=鈴木七絵
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