冬はスキーリゾートのイメージが強い「星野リゾート トマム」ですが、じつはノンスキーヤーにも楽しい催し、施設が盛りだくさん。その代表格が、寒さそのものを遊びに変える、氷と雪の街「アイスヴィレッジ」です。
前篇では、アイスヴィレッジの象徴「氷の教会」と、実際に宿泊できる「氷のホテル」を中心に、その立役者のお話を交えてご紹介します。
継ぎ目のない“一枚氷”で造られたドーム教会
アイスヴィレッジは、3.2ヘクタールの敷地に「氷のBar」や「氷のレストラン」など、氷や雪でできた11棟のドームが立ち並ぶ氷の街。1998年の冬に誕生して以来、毎年多くの観光客で賑わうトマムの冬の風物詩となっています。
とりわけ見応えがあるのが、今年20周年を迎えたアイスヴィレッジのシンボル「氷の教会」。その歴史や魅力について、ブライダル担当スタッフの下川花歩さんに聞きました。
下川 「氷の教会」は、祭壇や十字架、バージンロード、椅子などすべてが雪と氷でできています。毎年一から築き上げ、ひとつとして同じデザインはないというのも魅力のひとつです。
――教会のドームは、どのようにして造られるのですか?
下川 建設作業は、「気温がマイナス10~20度、晴れて雪が降っていない夜」に行われます。最初にバルーンを設置し、3~5日かけて水と雪を吹きつけ、凍らせていきます。
さらに、緻密な計算のもとで編まれたロープをかけて押さえつけ、その部分の氷の厚さが約15センチになったところでバルーンを抜いて、天井から壁まで“継ぎ目のない一枚氷”のドームが完成します。隣接する「氷のホテル」も同じ工法で造られています。
自然環境下でゆっくり時間をかけて造られる氷は透明度が高く、青い波長の光を反射することでご覧のような “アイスブルー”に見えるんです。夜はその青みが一層際立ちます。
――寒い日はマイナス30度近くにもなるという、トマムならではの造形ですね。ここで実際に結婚式を挙げられるのでしょうか?
下川 もちろんです。2006年の誕生以来、660組以上がここで挙式されています。一枚氷のドームには、「2人の純粋な気持ちが、途切れなく続く」という想いも込められています。教会のオープン期間中は、挙式の合間に一般のお客様も見学できるので、撮影スポットとしても人気ですよ。
20周年を機にデザインを一新。美術館も登場!
――毎年デザインが変わるとのことですが、今年の特徴は?
下川 「氷の教会」は今冬、20周年を機にデザインを大きくリニューアルしました。新郎新婦が立つ円形のステージ「誓いの場」をドームの中央に、参列席はそれを取り囲むように配置しています。
従来の教会建築にある「前方を見る」形式ではなく「中心を見守る」形式をとることで、参列者全員が祝福の輪の一部となる空間です。
下川 今冬は、氷の教会誕生の物語と20年の歩みを紹介する「氷の美術館」も登場しました。中央の「ストーリールーム」には、“氷の宝石”オブジェがあり、その上空にはトマムの雲海と、雲海から降り注ぐ雨や氷が再現されています。
それを取り囲む氷の壁には、トマムの四季折々の情景が描かれています。氷の壁画は、世界の氷彫刻コンテストで数々の受賞歴をもつ氷の彫刻家が手がけました。
下川 さらに、歴代の氷の教会の写真と年ごとの歩みを体感できる展示を設け、20年にわたる変遷を紹介しています。氷の美しさとともに、その歴史や教会に込めた想いに触れていただけたらと思います。
――氷の教会もまた、トマムの自然の循環の中にあることが感じられる展示ですね。
下川 ありがとうございます。毎冬、形を変えながら現れる教会が、訪れた方それぞれの思い出として積み重なり、そして季節が巡るたびに、またここへ戻ってきたくなる――そんな場所であり続けたいと思っています。
