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 美しく華やかで、おいしいものが彩り豊かに閉じこめられたパフェ。その人気は止まるところを知らず、美しさも味わいも日々磨きがかけられ、進化しています。

 グラスのなかで醸し出されるハーモニーは、まさにparfait(フランス語で「完璧」の意味)! 心躍る魅力的なパフェをご紹介します。


「料理とデザートに使う素材を分けずに使います」

 「ワインバーとアシェットデセールのお店」として人気を集める、東京・青山の「EMME(エンメ)」。パティシエの延命寺美也さんが、夫でありソムリエの延命寺信一さんともに営むお店です。

 東京・竹芝の「ツキ・シュールラメール」や、東京・青山の「ラチュレ」などのレストランでシェフ・パティシエを務めた、延命寺さんがつくるアシェット・デセール(皿盛リデザート)は、独創的な素材使いや味わいといい、華やかなプレゼンテーションといい、レストランクオリティの上質さ。口の中で膨らむ味わいと香りに、胸がときめきます。

 そうしたアシェット・デセールの世界観そのままに提供されているのが、常時3~4種類揃えられているパフェです。

 「パフェの発想は、料理から生まれることがほとんど。『これはデザートで使うもの』、『それは料理で使うもの』というように素材を分類せず、フルーツでも野菜でもハーブでも、なんでも使います」と、延命寺さん。パフェの魅力を尋ねると、「グラスに頼れるところ」との返答が。

「ケーキの場合は形を保つことが必要なので、ゼラチンを多めに加えたり、クリームをしっかりしたものにしたりしなければなりません。また、アシェット・デセールの場合でもやわらかなクリームやジュレなどは、アメや生地で囲うなどして流れ出さない工夫をしなくてはなりません。それに比べてパフェの場合はグラスが支えてくれるので、どんなに流動的な食材でも盛り付けられ、異なるやわらかさや口溶け、状態をいろいろなスタイルで表現できます」

 また、グラスの形によっても味わい方や感じ方が変わるといい、浅めのグラスであれば全体を一気に、背の高いグラスであれば、上から下へと移り変わるストーリーを楽しむパフェに。グラスのなかでさまざまな発見が待ち受けています。

2024.06.27(木)
文=瀬戸理恵子
写真=鈴木七絵