北九州で書店員として働く傍ら、2016年からほぼ毎週欠かさずに生配信サービス「TwitCasting」で放送してきた、怪談ネットラジオ「禍話(まがばなし)」の語り手・かぁなっきさん。彼が語る実話怪談の数々は、一度聞いたら脳裏にこびりつくような恐ろしさです。

 そんな禍話から今回は、かぁなっきさんの友人Kさんが実際に体験した、職場の先輩につきまとう不気味な女のお話をご紹介します――。

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Aさんの部屋のベランダにも人影が

 うつむいているので顔は見えませんでしたが、Tシャツ1枚でタバコを吸うでもなく立ち尽くすその人影が女性であることだけはわかりました。

「ちょっと飲みすぎたかな……」――目をギュッとつぶって再び開けた時、その部屋の隣、Aさんの部屋のベランダにも同じようにうつむいて立つ人影が見えた気がしました。

 ブブーッ。

 突然、ポケットの中で震えたスマホ。帰路を心配するメッセージが社員さんから届いていました。

 顔を上げるとベランダの人影はどちらも消えていたそうです。

  笑顔を作り直して部屋に戻ったKさんは、カーテンが閉まったままのベランダを見ながら、何気ない感じで聞きました。

「あの、さっき誰かベランダ出てました?」

「いや、誰も出てないよ」

 そう答えた女性の先輩が振り向きざまにベランダのカーテンに手を伸ばしました。

次のページ Aさんは青ざめて足早に……