北九州の書店員であり語り手担当のかぁなっきさんと、映画ライターであり聞き手担当の加藤よしきさんのコンビ「Fear飯」がホストを務める怪談語りチャンネル「禍話(まがばなし)」。2016年から生配信サービス「TwitCasting」で始まったこの番組は、コアなホラーファンすらも唸らせる実話怪談をこれまでに3000話以上発表してきました。

 今回はそんな禍話から、ある廃寺を訪れたことでおぞましい事態に巻き込まれてしまった男性の体験談をご紹介します――。

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笑い話の後には……

 一年も終わりに近づいてきたある年の冬。

 大学生だったSさんはその日、チェーン店居酒屋を貸切りにした大規模な忘年会に足を運んでいました。大学間で繋がって交流を広げる非公式の“インカレサークル”。人間関係を増やすために参加していたはずが、気づけば十数人の知り合いグループ、それも同じ大学内で集まった小さなコミュニティで落ち着いてしまっていたSさん。

 結局、その日の忘年会でも有名校の大きなテーブルが大声で盛り上がっている片隅で、いつもメンバーで集まってこじんまりと飲んでいたそうです。

 数時間経って一度飲み会は解散になり、大まかなグループに分かれた二次会が始まると、Sさんたちのグループは自分たちだけで飲み直すことになりました。

「先輩、一次会キツかったんじゃないですかぁ~?」

「そっちこそ嫌そうだったじゃん!」

「あはは! 確かに~」

 どんちゃん騒ぎもひと段落つき、気心の知れた仲間の空気にやたらホッとしたそうです。

「そういや、最近観た映画が超怖くて~」

「怖いって言うと俺この前さぁ!」

 笑い話も一通り話し終え、一同はいつしか聞きかじった怖い話を語り合う流れになりました。

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