2016年の深夜、生配信サービス「TwitCasting」で始まった〈青空怪談〉語り番組「禍話(まがばなし)」。語り手のかぁなっきさんが人づてに集めた怪談はすでに3000話を超えており、そのどれもが日常に影が忍び寄るようなおぞましいものばかりです。
今回はそんな禍話から、遠い親戚の葬儀に出ることになった男性が目撃したお話をご紹介します――。
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普段と同じような幸せな風景
平成の時代が終わりを告げようとしていた頃。
当時30代半ばだったHさんは、九州の比較的大きな都市でサラリーマンをしながら、2つ年下の妻との間に子どもも生まれ、金銭的な余裕はないものの充実した毎日を送っていたそうです。
「ただいまー」
しかし、ある日の夜を境にその日常は不確かで心許ないものに変わってしまったと言います。
その日も21時過ぎに仕事から帰ったHさん。お風呂から出た後、濡れた髪をタオルで乾かしながら「ふぅ」とため息をつくと、リビングダイニングの椅子に勢いよく座りました。
「今日も疲れた~」
「お疲れ様」
「ねえ、聞いてよ。営業の櫻井くんいるだろ」
「ん~? うん」
「あいつ悪い奴じゃないんだけどさぁ、今日僕に食ってかかってきてさ。やたら反抗的で困っちゃうよ。今の20代前半って、言う通りにしとけばうまくいくのに、なんか的外れな反発してくると思わない?」
「大変だねぇ」
Hさんの妻はすでにできていたご飯をキッチンで温め直しながらそう返しました。









