2016年からほぼ毎週欠かさず土曜の深夜に生配信サービス「TwitCasting」で放送されている怪談ネットラジオ「禍話(まがばなし)」。語り手であるかぁなっきさんが語る怪談の数々は、その全貌を探ろうとすればするほど闇に引き込まれていくような恐ろしい魅力に満ちています。

 今回はそんな禍話から、実家に帰省した男性が行くことになった“見知らぬ葬儀”に関する不気味なお話をご紹介します――。

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「今日な、お前、ちょっと葬式出てくれないか」

 翌朝。

 気持ちよく目覚めて1階のリビングに降りていくと、すでに朝食を終えた父はソファに腰掛け緑茶を飲みながら、老眼鏡の奥で眉間にしわを寄せて新聞を読んでいました。

「随分疲れていたみたいね。朝ごはん食べちゃって」自分たちの食器を片付けながらそう促してくる母。

 焼き魚の身をほぐしながらスマホ片手にご飯を食べていると、こちらに背を向けていた父が言いました。

「今日な、お前、ちょっと葬式出てくれないか」

「葬式? 誰の? ご近所さんでも亡くなった?」

「遠い親戚だよ。お前はあまり知らないかもしれないんだけど、昔お世話になってな」

 父にその続柄を聞きましたが、自分の家とはかなり遠縁にあたるようでした。

「お前より一回りくらい若い大学生の息子さんがな、朝起きてこなくて布団の中で冷たくなっていたんだと。原因はよくわからないんだけど、突発的なものだったみたいでな」

「あらぁ……それは残念だね。いいけど、俺、喪服なんかないよ」

「それは心配しなくても用意してある」

「あ……そう。準備いいね。いいよ、行くよ。広いから俺の車で行く? お昼くらいに出れば−−」

「一人で行ってくれないか。悪いんだけども」

 Hさんの父は、会話を遮るようにしてそう言いました。

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