映画『#拡散』は、愛する妻を失った男の声が新聞記事やSNSをきっかけに広がり、本人の意思とは異なるかたちで社会を動かしていく様子を描いたヒューマンドラマ。
沢尻エリカさんが演じるのは、その声に光を当てる新聞記者。情報が瞬く間に広がっていく時代のなかで、伝えることとどう向き合うのか。本作への参加を決めた理由や役に込めた思い、そして撮影の日々について話を聞いた。
「結構、感化されやすいところもあるんです」
――コロナ禍という、誰にとっても記憶に残る時代を背景にした本作ですが、脚本を読まれたとき、どのような印象を受け、出演を決められたのでしょうか。
台本を読ませていただいて、「このテーマに真剣に向き合おうとしているんだ」という制作側の覚悟を強く感じました。コロナ禍では、世界中の人たちがそれぞれに大変な思いや苦労を経験しているので、この作品にも共感できる部分と、逆にまったく理解できないと感じる描写の両方があると思うんです。
でも、それこそがこの映画の魅力なのではないかと感じました。センセーショナルな題材ではありますが、何かを一方的に訴えたり、否定や肯定をしたりする作品ではない。世界中の人が経験した出来事を、こうしてひとつの映画として提示していること自体に、大きな意味と価値があると思いました。
――新聞記者という役柄を演じてみていかがでしたか?
私が演じた福島美波という役は、ちょっと偏屈な部分が見え隠れしつつも向上心がある強い女性です。彼女が持つ二面性って言ったらオーバーですが、そういった人間臭さが表現できるといいなと思って演じていました。普段自分が見ていた視点ではなく、新聞記者だったらこれをどう見るんだろう、どう考えるんだろうと常に意識してました。
編集長に「どっちにも寄るな」って言われるシーンがあって、その言葉はとても印象に残っています。自分自身、ずっとメディアの中で生きてきた人間だからこそ、報道との距離の取り方を考えさせられました。
私、こう見えて結構感化されやすいところもあるんです。例えばニュースである意見が報じられると「確かにそうだよね」って思うし、別の意見に触れると「そういう考え方もあるよね」って思っちゃう。
でもそれは悪いことではないと思っていて。色々な意見を目にするのはすごく好きなんです。ネット上には本当に様々な意見がありますが、どちらか一方を否定するのではなくて、まずは理解しようとすること、そして互いを尊重しようと思う姿勢が大事なのかなって思っています。
――スマホを開けば、意識していなくてもニュースが次々と目に入っていますよね。デジタルデトックスなどはされていますか?
デジタルデトックスは特にしてないです(笑)。情報を浴びまくってます。動物の話とか、そういうほっこりする話題に癒されてます。
ただ、今はフェイクニュースとかフェイク動画で溢れていて「これ、本当に正しいのかな?」って一度立ち止まらないといけない場面も増えましたよね。何を信じていいかわからなくなることもありますけど、だからこそ情報に依存しすぎないこと、そして無条件に信じすぎないことを意識しています。
