「人生をよりよくするためのものが転職」
「転職」。会社勤めの経験がある人間なら、何度か頭をよぎったり、考えたことのあるキーワードだろう。
2023年7月17日(月)より放送の連続ドラマ『転職の魔王様』は、まさにそんな「転職」を軸にした物語。凄腕のキャリアアドバイザーが、転職希望者の仕事と人生を見つめ直させていく痛快お仕事ドラマとなっている。
「今のままでいいのだろうか…」、「もっと自分に向いた仕事があるかもしれない」という漠然とした思いで転職エージェントの門をたたく求職者たちの姿は、なかなかどうして他人事には思えない。
そして、タイトルにもなっている“転職の魔王様”の異名を持つキャリアアドバイザー・来栖 嵐を演じるのは、成田 凌さん。
成田さん自身は「転職……このお仕事を辞めてってことですよね? 辞めたくないなあ(笑)」とするほど俳優業にどっぷりのめり込んでいるが、ドラマ出演を機に転職や仕事について、思いを馳せたという。
CREA WEBのインタビューでは、成田さんとじっくり“お仕事”や、まつわる人間関係について向き合ってみた。
――成田さんは『転職の魔王様』で主演を務めます。そもそも「転職」の言葉にはどんなイメージを持っていましたか?
最初に持っていた転職への個人的なイメージは、何かマイナスなことがあって仕事を変えたい、というものでした。けど、実は兄がこれまで2回転職しているんです。兄は「今の仕事が嫌だから辞めたい、転職したい」というわけではなく、ポジティブに向かうために転職していて。そんな姿を目の当たりにしてからは「自分により合う仕事をするための転職」というイメージに変わりました。
今回、原作や脚本を読んでも同じで、人生をよりよくするためのものが転職なんだな、という考えがさらに強くなりました。なので、来栖嵐をやるときも絶対にそのモチベーションでやろうと思っています。人生をプラスにするというか、新しい人生の第一歩を手助けする人が僕の演じる役なんだな、と。
――来栖は転職希望者にやさしく寄り添うというよりも、辛辣な言葉も投げかけながら自分の思いに気づかせていく、というタイプのエージェントですよね。
そうなんですよね。一生懸命になってしまうからこそ、強い言葉を放ってしまうような人物だと思っています。すごくきつく聞こえるような言葉を彼は結構言いますけど、自分で考えてほしいための一言だったりするので、きっかけとでもいうのかな。結果、転職希望者にとっていいことになっていくんですよね。
転職は単なるステップアップのための手段ではなく、自分の幸せがどういうところにあるかを見定める、幸せの価値をしっかり自分で決めていく作業かなと思うんです。人それぞれで幸せの判断基準も違うものだから、その人に合ったものを提案するというか、その人の次の人生の第一歩目の助けをする立場だと思っています。
2023.07.17(月)
文=赤山恭子
撮影=平松市聖
ヘアメイク=反町雄一
スタイリスト=伊藤省吾(sitor)