俳優でありながら、情報番組『ZIP!』の木曜パーソナリティーを務め、さらには今年から大学にも進学、公私ともに充実の鈴木 福さん。「1日が24時間では足りません(笑)」とうれしい悲鳴を上げる鈴木さんだが、7月からはさらに新たな挑戦としてミュージカル『カラフル』の座長を務める。

 本作は、直木賞作家・森 絵都さんによる累計発行部数120万部超えのベストセラー小説が原作。これまでもアニメーションや実写作品となった人気作だが、ミュージカルとしては初の上演となり、注目を集めている。

 鈴木さんは、大きな過ちを犯して死んだ主人公<ぼく>を演じる。<ぼく>は、ガイド役の天使・プラプラ(川平慈英さん)に導かれ、自殺を図った中学生“小林真”の体に乗り移り、再び現世を生きることになるのだ。

 奇想天外な設定の中はじまる人間ドラマ。あっと驚くラストまで感情が揺さぶられるストーリーに、音楽がどう融合されるのか。期待値が上がる本作、まだ稽古が始まる前の鈴木さんにインタビューを実施した。鈴木さんには今の熱意や、「実は欲張りなんです」と分析する自身の性格まで、広く語っていただいた。


稽古では柔らかな発想でアイデア豊かに

――『カラフル』の原作を最初に読んだときは、どのような印象を持ちましたか?

 若い人が読みやすい作品でありながらも、扱っている内容はすごく重たく深いなという印象でした。最後はすっきり前を向ける作品になっているので、きちんとバランスが取れているような、すごくきれいなお話だとも思いました。きれいでありながらも、しっかり、ずしっとくるものもあるので、すごく読み応えがありました。

――今回の舞台はミュージカルとなります。まだお稽古前ですが、今ワクワクしていますか? ドキドキですか?

 単純に、すごく楽しみです! ミュージカル『カラフル』のビジュアルから見てとれるように、すごくポップな雰囲気なんですよね。「せたがやこどもプロジェクト 2023《ステージ編》」なので、子どもが見てもわかるように作られるとは思うんです。けど、台本を読む限りでは、子ども向けとはいえ“子供子供”した作品ではなく、しっかりとメッセージ性のあるものになっています。どんな風に仕上がるのか、僕自身、楽しみにしています。

――どんな準備をしていこうなどは、すでに考えていらっしゃいますか?

 作品を仕上げるために、解釈を深くするために、原作も台本ももっと読み込むつもりです。でも、舞台はお稽古があるものなので、そこでいただいたアイデアや「こうしてほしい」という要望に対して、応えられなくなるようにはなりたくない。ガチガチにかためるのは絶対に嫌なんです。その辺はゆとりを持って、いろいろなパターンを考えながらアイデアを作っていきたいです。

――ミュージカルなので、歌のトレーニングの時間も取っているんですか?

 去年からちょくちょく練習をやっています。まだまだ足りていないなと感じる部分もあるんですけれど、ここからしっかり追い上げていって、皆さんに観てもらう頃には完璧なものに仕上げていきたいです。

2023.07.05(水)
文=赤山恭子
写真=佐藤 亘