Netflixシリーズ『ボーイフレンド』のシーズン2が配信され、再び私たちのタイムラインを賑わせています。前作が、真夏の海辺で繰り広げられた「ライトで爽やかな青春」の香りをまとっていたとするなら、今作の舞台は冬から春へとゆっくり時間が移りゆく北海道。

 しんしんと降り積もる雪、そして静寂。そんなある種「閉鎖的」ともいえる空間で、10人のボーイズが紡ぐ物語は、キュンとする恋模様だけに留まりません。前作以上に恋愛の裏側にある性的マイノリティのコミュニティ内部の葛藤や、社会構造が生んだ歪みを鮮明に描き出しています。

 本作を「単なるキラキラした恋愛エンターテインメント」として消費するのはもったいない! そこには現代日本を生きる当事者たちが直面する、より深く切実な課題が凝縮されています。

※この記事は「ボーイフレンド2」エピソード1~12のネタバレを含みます。


スケールアップしたことで「新たに描かれたこと」

 今シーズンのキャスティングでまず唸らされたのは、その年齢層の幅広さです。20歳の大学生・リュウキから、15年連れ添ったパートナーと別れたばかりの40歳・カズユキまで。ゲイ・コミュニティにおいて、この「20歳の差」は単なるジェネレーションギャップではありません。それは、日本のLGBTQ+を取り巻く環境が激動した、歳月の重みそのものです。

 SNSを通じて多様性に触れてきた若者と、まだ「隠すこと」が生存戦略だった時代を知る大人。共通の背景を持つ者同士、誰に対しても嘘をつくことなく恋愛を語り合える時間は、彼らにとって何物にも代えがたい救いだったはずです。

 そしてシーズン2にスケールアップしたことで新たに得た気づきもありました。それは、「現在の恋愛」だけでなく「過去や未来」へと視線が伸びたとき、彼らを支えるべきパートナーシップの「地盤」がいかに脆弱か、という点です。

 今シーズンで感じた変化として印象的だったのは、ウィリアムとイザヤが将来を語る際、当たり前のライフイベントとして「結婚」という将来の話題を持ち出したシーンでした。

 「結婚式をあげるとしたら何歳であげたい?」「40までにはしたかったなと思ってた」。そんな会話が同性間で自然に交わされる光景は、希望に満ちた、とても画期的な展開に映りました。

 けれど、そこで私たちは同時に、その会話が可能だったのは二人がオーストリアとスペインという「同性婚が法制化された国」で暮らしているからだ、という冷徹な事実に引き戻されます。

 残念ながら、今の日本ではそんな未来を日常の延長線上で想像することすら、いまだに困難なまま。この法整備の遅れによる「制度の欠如」という暗い影は、華やかな恋愛リアリティショーの舞台裏にも、実は色濃く落ちています。

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