CREA2026年春号の「美容は、楽しい? 美容は、苦しい?」特集が、現在好評発売中! CREA WEBではその一部を抜粋してご紹介します。

「どうすれば、美容がもっと楽しくて、自由なものになりますか」。編集部から人気メイキャッパーのUDAさんへ送られた一通のメールではじまった本企画。これはそのために必要な、無垢な感性と遊び心、そして「自分の美」と出会う旅。


【基】決してやりすぎにならない控えめな色気を持った素顔のバージョンアップ

「自分らしいメイクがわかりません」

 メイキャッパーとしてよくこんな質問を受けます。皆、心のどこかで「自分らしくありたい」と強く願っているのですね。では、「自分らしさ」とは何でしょうか。ビューティやメイクの世界では、その答えが顔の形態の話になりがちです。「一重だから」「顔が丸いから」「ブルベだから」といった、持って生まれた顔の特徴を分析し、「だから、あなたにはこういうメイクが似合います」と提案する。

 もちろん、それも一つの真理ですし、間違ってはいません。ただ、自分らしさとは、本当にそれだけなのでしょうか。形態のことだけで「自分らしさ」を語っても、それは自分の一部であって、すべてではないはずです。だから僕は、その人の心の世界が、もう少しお化粧に反映されると、本当の意味で「自分らしい」ということになるのではないか、と考えています。

 その心の世界を見つける手がかりになればと思い、『k esho:化粧』という本をつくりました。この本で伝えたかったのは、一人ひとりの中に実は自分らしい「遊び心」があると思うということです。アイシャドウはグラデーションでなければいけない、なんてことはありません。線でもいいし、点でもいい。しかし、その自由な遊びの境地に至るには、まず自分というものを肯定して、受け入れられている必要があるかもしれない、とも感じるようになりました。

 自分を受け入れていなければ、「もっと顔をこう整えなければ」という考えに囚われて、「遊ぶ」という余地までたどり着けないのではないか、と。「自分を肯定する」「自分を受け入れる」というと難しく聞こえるかもしれません。でも、もっとシンプルなことです。たとえば、お風呂上がりの自分の顔。あれは、なかなかいいものではないですか? そこにまず、あなた自身の美しさがあるはずです。

 もちろんお風呂上がりに限りません。100メートルを全力で走った後の顔でもいい。要するに、自分が「いいな」と感じる顔、いい状態でいるときの顔です。それをメイクで再現できるようになったら、「自分ってなかなかいいな」と思えるようになりませんか? そのために提案するのが、僕が「基」と呼んでいるメイクです。

 そうやって、自分を肯定できるようになると、心に余裕が生まれます。その余裕こそが、「遊び心」の源泉です。「これでよし」と思えれば、すでに自分の美しさに出会えているのですから、そこから先は自由に遊べるようになるのです。

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CREA 2026年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。