実話怪談を語り続けて実に10年という記念すべき年を迎えた、生配信サービス「TwitCasting」の人気怪談語りチャンネル「禍話(まがばなし)」。

 そんな禍話から、とある山間部のロッジに夏合宿にきた女子大生が体験した、不気味な一夜をご紹介します――。

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「ちょうど1年前、ここで…」

 次々と披露されていく“まことくん”への思い出と後悔の数々。

 なぜ新入生への説明もなく夜中にこんな会が催されているのか。果たしてこれは本当に怪談なのか……。

 Dさん曰く、今目の前で滔々と語る先輩たちが、日中に和やかに笑い合っていたのと同じ人物にはどうしても思えなかったそうです。

「私たちの落ち度だよ。『人の立てない林の中に女が立ってる』とか、そんなことあるわけないって、ちゃんと言えば良かった」

「思えば飲み会のときに『●●ちゃんがいる』って言っていたのも変だったよね。サークルの人でもないから、知り合いなのかと思っちゃったけど」

 妙に聞き取れない名前。

「あ、ごめんね。1年には言ってなかったよね! ちょうど1年前の今日なんだ、まことがいなくなったの」

 こちらに振り向きそう言ったI先輩の表情は、まるで“これで全部説明になっている”と言わんばかりのもので、その何気無さがDさんら1年生たちの心を曇らせました。

「だからさ、1年のみんなも、なんかおかしなことがあったらすぐに指摘してね! 誰か気づいた人いる?」

次のページ トイレに出かけたDさんの頭によぎった“記憶”