「まさかそれって、あの……」
Dさんは震える足でロッジから飛び出し、管理棟に向かって駆け出しました。
まだ電気が点いていた管理棟のドアをバンバンと叩き、迷惑そうに出てきた40代の男性と目が合った瞬間、Dさんはこらえきれずにその場でまた嘔吐してしまったそうです。
しばらくして落ち着きを取り戻したDさんは、水を差し出しながら背中をさすってくれる管理人さんに、自分の身に起きたことを全て伝えました。
こっそり酒を煽った大学生が見た悪夢と思われても構わない、そう覚悟していたDさんでしたが、管理人さんの返答は予期せぬものでした。
「まさか去年って……あの山狩りしても見つからなかった事件かな……」
管理人さんは“まことくん”の事件のことを知っていたのです。
どちらにせよまだロッジに不審者がいる可能性は捨てきれない……そう冷静に判断した管理人さんは奥から懐中電灯を取ってくると、Dさんに「私は現場を確認しに行くから君はここにいて」と告げたそうですが、メンバーの安否が不安だったDさんはよろよろと立ち上がり、同行を申し出ました。
「君の先輩たち、予約のときに全然違う大学名とサークル名を名乗っていたんだよ。だから全然気がつかなくて……」
懐中電灯の明かりで夜道を照らし、悔しさを滲ませながらそう語ってくれた管理人さん。
Dさんはロッジの前に着くと、さっきまであれだけ声を張りながら喋っていた先輩たちの声が聞こえないことに恐怖を覚えました。
