座長として、キャストたちと楽しみながら
――本作では鈴木さんが座長という立場です。カンパニーをどう引っ張っていきたいという思いはありますか?
(川平)慈英さんがいてくださるので、それだけで稽古場の雰囲気が一気に良くなると思うんです。もう任せたいと思います(笑)。
――川平さんとはもうお話もされましたか?
取材を一緒に受けたりはしたんですけど、作品についてじっくり話すことはまだありません。以前、ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』を一緒にやらせていただいたんですね。そのときに感じた慈英さんのパワーがあったので、今回もそのパワーを感じながら一緒に盛り上げていけるようにできたらな、と思います。慈英さんは、本当にテレビのイメージのまんまの方なんです! 一瞬たりとも疲れた顔を見せずに、あのままでいてくださるので本当に素敵な方です。
――そうなんですね。『ビッグ・フィッシュ』は7年前なので、当時まだ幼かった鈴木さんにも、川平さんはいち役者として接していたようなイメージですか?
そうなんです、そうなんです。若い人に限らず、皆さんに対して慈英さんはそうでした。役のポジション問わず、ひとりひとりに対して、すごく明るく接してくださっていたんです。僕も今回、ひとりひとりと向き合って深めていけたらいいなと思います。
――皆さんとの仲を深めるために、鈴木さんならではのコミュニケーション必勝法みたいなものはありますか?
何だろう……! まずは話しやすい雰囲気みたいなものを作りたいです。大前提として、現場の雰囲気を悪くしないことを意識したいですね。真ん中に立たせてもらう僕みたいな人間が、ずっとつらそうだったり暗い顔をしていたら、空気が暗くなるに決まっているので。みんなで楽しくワイワイやりながら、締めるところはしっかり締めて、というのが理想です。
今お話したようなことは、小林香さん(脚本・作詞・演出)を含めて皆さんがやってくださると思うので、僕ができることは全然何もないですけれど……。とにかく雰囲気を良くするために何かができたらいいなぁと思います。
――舞台は生ものですし、お客さまとの距離も近いですよね。モチベーションも本番ではぐわっと上がったりしますか?
もう、はい! 稽古場と舞台稽古でも変わりますが、ゲネプロと初日とだと、一気に変わります。本番は、日によって反応も全然違うじゃないですか。
――例えば、お客さんの反応がいまいち感じられないときは、少しお芝居を変えてみるようなこともあったりしますか?
それはしないようにしています。去年、ストレートプレイでコメディをやっていたんです。そのとき、お客さんの反応が薄いと「もっと、もっと」とやっぱりほしがってしまっていました。でもそれは絶対ダメなので、「いつも通りにやろう」と、みんなで言っていました。変にもらいにいって、傷つくよりもという感じです(苦笑)。
2023.07.05(水)
文=赤山恭子
写真=佐藤 亘