いろいろなことにもっと早く気付いておけば良かった
――俳優は自分自身と向き合うことの多い仕事かもしれませんが、自分のことを考えたりする時間も多いですか?
どうなんだろうな……。自分と向き合っている時間が果たしてあるのかなあ。僕は自分が何者なんだか、よく分かっていないんです。役のことは考えますけど、自分のことを考えるのは、なかなかしないかもしれない。
――例えば、取材ではご自身のことや内面のこともたくさん聞かれると思うんですが、それを機に考えたりもしますか?
そうですね! こういう機会があるから自分のことを話しますけど、普段生きていると、自分がどうとかはなかなか考えないです。「自分はこうだからこう」みたいなのを言える人はすごいなと思います。
――ちなみに、転職をしたいと思ったことはありますか? 今はどうでしょうか。
転職かあ……やりたいことはたくさんあるんですけどね。でも、このお仕事を辞めてということなら、辞めたくないなあ(笑)!
――俳優業が天職なんですね。先ほど「30手前」という言葉がありました。ここ最近、「20代のあのとき、よく乗り越えたなあ」など振り返るピークはありますか?
最近すごく思うのは、いろいろなことにもっと早く気付いておけば良かったな、というのはあらゆる面であります。けど人生そんなもんかもしれないですし、気付かないよりはいいかなと(笑)。後悔してもしょうがないから、より良く、ちゃんと生きていこうと思っています。
――気付くときはどういうタイミングで、「あっ」と思うんですか?
いいものを見るときよりも、悪いものを見たときに気付くことのほうが自分は多いかな。もちろんいい先輩たちはいっぱいいますけど、たまに「自分はそうならないようにしないと」という場面に遭遇してしまうこともあるので今から気を付けておこうと思います。
逆にそうしていくと、いい人のいい部分が見えてきたりするんですよね。一気に大人になることはないから、日々学んでいったり、いろいろなことに気づいていくのかなと思います。そのこと自体に気づくのが遅かったなとは思います(笑)。
2023.07.17(月)
文=赤山恭子
撮影=平松市聖
ヘアメイク=反町雄一
スタイリスト=伊藤省吾(sitor)