舞台「プレゼント・ラフター」(Present Laughter)で主人公の人気俳優役を演じる稲垣吾郎。2025年7月から10月まで“ハリー役”を務めた舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」に続き、再び英国男性を演じつつ、大人の恋愛コメディに挑む。後篇では、どこか彼自身に重なるところもある役どころについて、そして2026年に向けた抱負も語ってもらった。


戯曲を書いたノエル・カワードから感じたバイタリティ

――この戯曲を書いたノエル・カワードは、俳優でもあり、とてもおしゃれな人だったそうです。男性がファッションとしてタートルネックを着たり、スカーフを首に巻くのは、カワードが100年くらい前にロンドンの舞台で着て登場したのが最初で、そこから流行したそうですよ。

 ノエル・カワード、すごいですね。タートルネックって、フランスの実存主義の人たちの間で流行った、黒いタートルネックのイメージがあるけれど、その前なんですね。それは知らなかった。ファッションリーダーみたいな人だったんですね。100年前まで、タートルネックを男性が着てなかったというのにも、びっくりですよね。

――それまでイギリスでは、タートルネックは防寒着とか作業着という扱いだったらしく、街着として着ることはなかったらしいです。すごい影響力ですよね。

 バイタリティを感じますよね。彼の資料を見ると、劇作家であり、作詞作曲家であり、俳優でもあるなど、いかに多彩な活動をしてきた人物かがよくわかります。ポール・マッカートニーやデヴィッド・ボウイをはじめ、イギリスの多くのアーティストや俳優たちが彼を尊敬しているのも納得です。

 彼が脚本を手掛けた映画『逢びき』(1945年)は観たことがありますが、さらに掘り下げて、色々と勉強したいと思っているんです。

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