年200日、国内外を旅して温泉や大自然を取材し、撮影・執筆する石井宏子がトラベルジャーナリストの視点で、注目の温泉宿をご紹介。

 予約が取りにくいと称される憧れの宿「花仙庵 仙仁温泉 岩の湯」。一万坪の敷地に18室、泊まった人は虜になり、次はいつにする? と予約を入れて帰る人が多いので、一年中ほぼ満室という人気ぶり。予約を取るのは基本電話のみ、公式ホームページもない。

 リピーターが多いのもうなずける1959年(昭和34年)創業の「岩の湯」は、私が初めて訪れてからも日々進化しています。今回は、石井的「岩の湯」のお気に入りの場所や、完成したばかりの最新スポット、予約の極意まで盛り込んで語ります!


雪の森の奥にひっそりと佇む一軒宿

 宿の敷地へ入ると、スタッフが駆け寄ってきて荷物を運びながら玄関まで案内してくれます。門をくぐると日常から一気に別世界へ。森の小道は野鳥の声が響き、パチパチと燃える焚火、木の橋を渡って誘われる隠れ宿の雰囲気に期待が高まります。

源泉の滝を眺めるロビーでチェックイン

 2回目以降はいつも「おかえりなさい」と歓迎してくれるスタッフの笑顔に、またここへ来れた喜びがじわじわとあふれてきます。源泉の滝を眺めるロビーやゲスト専用のカフェ&バーでチェクイン。ウエルカムドリンクのおしゃれさに感激します。

 見た目が美しいのもテンションが上がりますが、甘酒の上に抹茶がそっと注がれていて、爽やかな苦みの下から優しい甘さがすーっと入ってくる大人の味わいです。お芋で作ったお菓子もピンチョスのようで美味しくて絵になります。

ずっと座っていたくなる場所がある客室

 18室の客室はそれぞれ少しずつ趣が異なる、広さなどによって価格設定は3パタン。離れと呼ばれている「仙山亭」の4室は、広さもたっぷりなのに加えて、2024年に仙山亭のゲスト専用の貸切風呂が誕生し、知る人ぞ知る最も予約至難のプラチナチケットになりました。まずは、そのお部屋をご紹介しましょう。

 和室が二間あり、その奥には落ち着けるリビングが。お茶を飲んだり、CDで音楽を聴いたり、結局、ここにいる時間がいちばん長かった。

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