最晩年まで光を追い続けたクロード・モネ。
オランジュリー、オルセー、そしてマルモッタン・モネ。この3つの美術館には彼の大河のごとき画業が凝縮されている。
夢に見た絵と向かい合う邸宅美術館の至福
ブローニュの森に寄り添うように佇むこの邸宅美術館は、1934年、ポール・マルモッタンが自邸を蒐集品とともに芸術アカデミーに遺したことに始まる。アカデミーといえば、公式サロンを主導し、かつて印象派の画家たちに門を閉ざした側。それが彼らの独立展開催の契機になった。
ところが1940年、印象派の最初期のパトロンの遺族から《印象、日の出》を含む絵画群が寄贈される。印象派を拒んだ側がその名の由来となった作品の守護者になったのだ。
地下展示の左奥に、その絵画はある。手を伸ばせば届きそうな距離で作品と対峙する瞬間は、この邸宅美術館のクライマックス。巡り会えた感謝にも似た想いが湧き上がってくる。一角にはまた、《印象、日の出》と同時代の作品が静かに並び、若き日のモネの足跡を辿るような親密な時間が流れてゆく。
また、1966年にはモネの次男ミシェルから100点を超える作品が遺贈され、ここに世界最大のモネ・コレクションが誕生した。光あふれるジヴェルニーの庭園から、形が溶け、色彩が躍動する晩年の《睡蓮》や《日本の橋》。視力の衰えと格闘しながら制作を続けたモネの晩年の姿が浮き上がってくる。
そして2024年、兄レオンを描いた肖像画がレオンの孫娘の遺族から寄贈され、サロンの壁に飾られた。モネを巡る物語はまだ終わっていない。そう伝えているようである。
Musée Marmottan Monet(マルモッタン・モネ美術館)
所在地 2 rue Louis Boilly Paris
電話番号 01 44 96 50 33
営業時間 10:00~18:00(木曜は~21:00)
定休日 月曜
料金 14.50ユーロ(オンライン)、14ユーロ(窓口)
※事前オンライン予約を推奨
https://www.marmottan.fr/
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