名作として知られる『カッコーの巣の上で』を、松尾スズキさんの演出で上演。注目の本作で、吃音がある青年ビリー役に挑むのが坂東龍汰さんです。観る者の心を揺さぶる物語にどう向き合うのか、そして舞台という場所に惹かれ続ける理由について、率直な言葉で語っていただきました。
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松尾スズキさんとの出会いは自分の人生に大きく影響していくはず
――名作として名高い『カッコーの巣の上で』で、吃音に悩むビリーの役を演じられますね。この物語にはどんな印象をお持ちですか?
最初に映画版を観たのは小学生の頃だったと思うんですが、拷問のような衝撃的なシーンが多かったし、つらい話だなと思ってました。「こんな世界があるんだな」とただただびっくりした記憶があります。でも今回改めて見返してみると、ジャック・ニコルソン演じる主人公のマクマーフィーの自由さに引っ張られて、まわりの人たちの目つきが変わって行く。その変化を見ているうちに「どんどん、やれやれ!」って応援する気持ちになってました。愛着が生まれる物語ですよね。
映画だけでなく、舞台でも過去に様々な方が演じているので、やっぱりプレッシャーは感じます。でもそこと比べずに、僕なりのビリーを演じたい。彼の可愛さだったり、切なさだったりを、どんどん模索していきたいです。
――ビリーという役にはどんな印象を持っていますか?
ピュアで心の優しい青年だと思います。吃音のある役なので、身体的なところからアプローチしていかなくちゃいけない。普段の自分の延長線上にある役ではないので、演じることに対して緊張感もあります。
本番が始まったら、もっとビリーについて分かってくることも増えるんじゃないかな。お客さんはここに心が動くんだ、とか反応を受け取りながら認識を深めていく気がします。自分自身についても「坂東ってこういう人間です」って自分から発信していくよりは、まわりからどんな風に見えているかを通して、自分を発見していくことの方が多いじゃないですか。それと少し似ている気がします。どんなビリーに出会えるんだろうってわくわくしてます。
――松尾スズキさんの舞台には初出演ですね。オファーが来たときはどんな気持ちでしたか?
めちゃくちゃ嬉しかったです。松尾スズキさんの舞台は、観るたびにぐっと心を鷲掴みにされます。ユーモアの中にしっかりとメッセージがありますし、人間の本質が剥き出しになっていくところがすごいですよね。一昨年の舞台も、観終わった後大号泣しちゃって。「なんじゃこりゃ!」って気持ちでした。すごい芝居を観てしまったなぁという感動というか衝撃がありましたね。
そのエネルギーを今回間近で感じられると思うと楽しみです。まだ本番も始まっていない段階でこんなこと言うのは少し気が早いかもしれないですが、松尾さんとの出会いは自分の未来に必ず影響していく気がします。
