この記事の連載

 2017年のデビュー後、映画『春に散る』や舞台「う蝕」、ドラマ「RoOT / ルート」などの活躍が目覚ましい坂東龍汰(27)。

 映画『東京リベンジャーズ 2 血のハロウィン編-運命-』や『陰陽師 0』などの話題作に次々と出演し、その高い演技力で世界からも注目を集める髙橋里恩(26)。

 2007年の人気ドラマ「山田太郎ものがたり」の三男・三郎役で子役デビュー後、映画『告白』や『死んだ目をした少年』などに出演し唯一無二の存在感を放つ清水尚弥(29)。

 たしかな実力と才能を持つ若手俳優3人が、二ノ宮隆太郎監督の待望の最新作『若武者』に集結した。2024年5月25日(土)に公開される本作は、幼馴染の若者が“世直し”と称して街の人間たちの些細な違反や差別に対し、無軌道に牙を剥いていくストーリー。ふりかざす正義が徐々に“暴力”へと変化していくさまを3人は見事に演じきった。

 しかし取材になると一転、誰よりもムードメーカーな坂東を中心に、20代の若者らしい軽快な会話と冗談が飛び交う。今をときめく彼らが、演技論、私生活、お互いの性格分析――あらゆることを語り合う貴重な鼎談が実現した。

» 【後編を読む】「演技で肌の色を変えたらしい」「すげえ~‼」3人が語る、理想の俳優は?


普段は明るい坂東さんが演じる、寡黙な役柄…「よう黙ってられてんなと」

――『若武者』を拝見して、幼馴染の渉(坂東龍汰)、英治(髙橋里恩)、光則(清水尚弥)の3人を演じたみなさんのお芝居を堪能しました。ご自分の役にどのようにアプローチしたのでしょうか?

坂東 脚本を読ませていただいたときは、「おお〜、こう来たか!」と驚きました。というのも、渉という役は僕とは正反対なんです。僕は基本的に明るいし、おしゃべり大好きだし、楽しいことに首を突っ込んでいくタイプの人間なので(笑)。

――渉は寡黙で、感情を押し殺し、自分の周りに完全にバリアを張り巡らせているように見えました。

坂東 はい。演じるにあたっては、自分と少しでもリンクする部分を見つけて、小さいタネを大きくしていくという作業をしました。

――リンクする部分とは?

坂東 具体的には言えないですが、僕も過去にいろいろな出来事がありました。それが今コンプレックスのように残っているものもあって。それと向き合い、直す作業をして、そこから、「なぜそれに蓋を閉じて、今まで我慢してきたんだろう?」と考え、同じように“我慢大会をしている渉”と向き合っていった部分はあると思います。

 あと、怒りのような負の感情を表にバーンと発散することが僕も苦手なので、感情を溜め込む部分は共感しました。

髙橋 撮影中、「よう黙ってられてんな」と思いましたよ(笑)。

2024.05.25(土)
文=須永貴子
撮影=榎本麻美