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 日本の夏は湿度が高く、ジメジメとした空気が続くため、梅雨が明けても湿気対策が欠かせません。雨が降って湿気が多くなる日や、台風が近づいているときには、なんとなく体が重く感じたり、顔の印象までぼんやりして見えることはありませんか? 実はそれ、体の中の巡りが滞っているサインかもしれません。国際中医薬膳師のさとうあいさんに、薬膳の考えを基にしたセルフケアを教えてもらいました。

 この時期は、湿気の影響で体の中に水分が溜まりやすくなるだけでなく、消化の働きも弱りがち。食べたものがうまくエネルギーに変わらず、むくみやすくなったり、疲れが抜けにくくなったり。さらには、お肌のたるみにつながりやすくなります。

「なんとなくやる気が出ない」「寝ても疲れが抜けない」

 そんな湿気が関係する不調は、誰にでも起こること。でも、ちょっとした暮らしの工夫で、重だるさを和らげることができます。大切なのは「頑張らない」こと。体を冷やしすぎない食べ方や水分の摂り方、軽い運動やお風呂の入り方など、あなたが無理なくできることから取り入れていきましょう。それが続けられる秘訣です。

 今回は、薬膳の考え方をベースに、専門知識がなくてもすぐに始められるセルフケアをご紹介します。

 重たくなりがちな季節も、自分らしく心地よく過ごせるヒントになりますように。

◆食材の選び方

 夏野菜が美味しくなるこの季節。みずみずしいきゅうりやトマト、ナスなどが食卓に並びますが、これらは体を冷やしやすい性質を持っています。冷たい飲み物や冷房などで冷えがちなこの時期、食べ方にはちょっとした工夫が必要です。

 ポイントは、温かく食べることです。例えば、蒸す、焼く、煮るなどの加熱調理を取り入れたり、生姜やスパイスなど体を温める食材と組み合わせたりすることで、冷えのリスクを和らげられます。

 また、湿気対策としては、余分な水分を溜め込みにくくする食材がおすすめ。小豆や大豆などの豆類、紫蘇、茗荷などの香味野菜、お腹の調子を整えるお米やとうもろこし、かぼちゃなども積極的に取り入れてみましょう。

 ほんの少し、食べ方を意識するだけで、体がすっと楽になるのを感じられるはず。季節の恵みを味方にして、自然なリズムを取り戻していきましょう。

2025.07.19(土)
文・撮影=さとうあい