郷土料理こそがイタリア料理の真髄!
イタリアの郷土料理やマンマの家庭料理を研究している料理家の齊藤奈津子さんが、愛用しているイタリア食材やキッチンアイテムを、前後篇に分けてご紹介します。
本場でも愛されている 食材とキッチンアイテムたち

私がイタリアへ滞在する際、楽しみにしていることのひとつが、イタリア人の家にお邪魔してキッチンを見ること。
各家庭にある調理器具や、代々使われているアイテムを見るだけで、心がうきうきします。長年愛用しているアイテムには、使う人の愛着や思いが宿っている気がするからです。
私は大の調理器具好きで、イタリアはもちろん、海外に行った際は、便利なものや珍しい道具などを、つい買ってしまいます。
ボロボロになっているのに、まだ使い続けている道具もたくさん。
今回は、私が持っている調理器具のうち、特にお気に入りの品と、本場でも愛されているおすすめの食材をご紹介します。
美味しさの秘密は 伝統ある“ブロンズ製”
#1 マエストリのパスタ

今や日本にも、イタリアから様々なブランドのパスタが輸入されていて、気軽に本場イタリアの味を楽しむことができます。
数あるブランドのなかでも特にお気に入りは、乾燥パスタ発祥の街、ナポリ地方グラニャーノで作られる「マエストリ」のパスタです。

乾燥パスタは、ダイスという穴がたくさん空いた口金を使って作ります。パスタの生地は、ダイスの穴を通って、色々な形に形成されるのです。
マエストリは、伝統的なブロンズ製のダイスを使っており、パスタを少量ずつ丁寧に作っています。
近代に入ると、テフロン製のダイスが開発され、パスタの大量生産ができるようになりましたが、マエストリは今も伝統的な製法にこだわって、ブロンズのダイスを使っています。

ブロンズダイスを使ったパスタは、表面に凹凸ができてザラザラとした仕上がりになります。そのため、小麦の味をしっかりと楽しむことができ、ソースが絡みやすいのが特徴。濃厚なソースにとてもよく合います。
ちなみにブロンズダイスを使っているパスタは、袋に「bronzo(ブロンゾ)」と書いてあるので、ブロンズダイス製を選びたい場合は「bronzo」を目印に!
一方、テフロンダイスのパスタは表面がツルツルとしているのが特徴。ツルッとした食感やコシを楽しみたい場合、オイル系のソースと合わせたいときなどは、テフロンダイスを選ぶと良いと思います!
マエストリのパスタは、ちょっとお値段がはるので、特別な日や大切な人に作るときにおすすめですよ。
2020.07.18(土)
文=齊藤奈津子
撮影=佐藤 亘