お笑い芸人さんに一緒に暮らすペットを紹介してもらう「お笑い芸人の“うちの子”紹介」。記念すべき第50回はエレキコミックのやついいちろうさん。

 現在、パグのこぶし(オス・14歳)、こはだ(オス・3歳)と暮らしています。犬を飼ってみたいという思いから、エア犬という想像上の犬をイメージした生活を送っていたというやついさん。運命的な出会いをしたこぶしくんは大病を幾度も乗り越え、やついさんの愛をめいいっぱい受けながら、こはだくんとともにゆったりと暮らしています。

 パートナーである松嶋初音さんも一緒に、パグ2匹との暮らしを語ってくれました。


長年、脳内でエア犬「こぶし」を飼っていた

――こぶしくんとこはだくん、それぞれとの出会いを教えていただけますか。

やつい こぶしを飼い始める前、僕は長らくエア犬というものを飼っておりまして。エア犬というのは想像上の犬ということなんですが、『電脳コイル』というアニメに出てくるデンスケという電脳メガネをかけると見える電脳ペットがいいなと思っていて、僕も頭の中にだけいる犬を飼い、「こぶし」と名づけていたんです。例えば散歩させたり、コンビニにも犬を連れているふうにしてリードをつけたり……とか(パントマイムで)やっていたんですよ。

 実家は市営住宅だったので、ペット禁止で。近くに住んでる友達が子犬を拾ってきた思い出から、ずっと犬を飼ってみたいとは思っていたんですけど、仕事柄、外出も多いから無理だろうと思っていたんですよね。

――想像上の愛犬を可愛がっていたんですね。

やつい そうなんです。で、ある日、六本木かどこかの美術館に行ったら、休みで。どうしようかとプラプラとしていてたどり着いたペットショップにいたのが、このこぶしで、僕の脳内でイメージしていたこぶしそのままだったので、その日に飼うことを決めました。

――即決だったんですか。

やつい 迷いはありました。奥さん(松嶋初音さん)とは当時、まだ結婚してなかったんですけど、その日も一緒にいて。近くの喫茶店に入ってすぐ、奥さんがパグについて調べたら、毛がすごく抜けるとか、歳を取ると頑固になってしつけができにくくなるとか出てきたんです。

 僕は「もうちょっと冷静に考えたほうがいいし、時間をおいたほうがいい」って言ったんですが、奥さんがすごく興味を持っていて。あと、奥さんの誕生日が11月13日で、僕が15日で、その後14日が結婚記念日になるんですけど、こぶしの誕生日が12日だったんです。そこに縁を感じて、飼うことを決意しました。

――こはだくんは?

やつい 奥さんに連れられてペットショップに行ったら、会わされたんです。

 で、「この子、こぶしみたいじゃない?」って言われて。奥さんはずっと飼いたそうにしてたんですけど、こぶしもいるし、飼わなくていいんじゃないかなと。誕生日が11月11日か16日だったらいいのにって心の中で思ってたらそうではなかったんですけど、8月21日で。“やつい”だ! と思って惹かれました。でも、その場で飼うことは決めなかったんです。

 それから1カ月くらい、奥さんはずっとそのペットショップに通ってたんですよ。ずっと売れなかったからか、ある時、仙台のペットショップに移動するのが決まったらしく、そのタイミングで奥さんが連れて帰ってきたんです。僕は何も知らず、仕事から家に帰ると奥さんから「目を瞑ってください」って言われて。部屋に連れていかれたら、ケージの中にいました。それがこはだですね。

松嶋 いちろうさんは初めて一緒に暮らした動物がこぶしなんですけど、10歳くらいの頃にこぶしが体調を崩してしまったんです。パグの寿命は平均13、14歳。周りの人から「やついさんはこぶしがいなくなったら大変だ」と言われていましたし、私としても失った時にペットロスが心配だからもう1匹迎えたほうがいいと思って、条件に当てはまる子――パグのオスで誕生日が近い――を探していたんです。こはだは8月21日で“やつい”だから許してくれるだろうと思ったんですよね。

――2匹のお名前はどんなところから決められたんですか?

やつい パグはラテン語で握り拳という意味らしくて、そこから決めました。こはだは、こぶしと似てるからというのもあるんですが、村上春樹さんの小説の中に猫に「こはだ」という名前をつけるというくだりがあって、いいなと思って名づけました。

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