この記事の連載

 お笑い芸人さんに一緒に暮らすペットを紹介してもらう「お笑い芸人の“うちの子”紹介」。第42回は、最近改名したばかりのしずる・純さん。

 3人家族で、現在、キジトラのマロンちゃん(メス、4歳)と暮らしています。ひとりっ子の息子さんのために保護猫シェルターから迎え入れたとのことですが、自分自身を「ペットがどうこうというタイプじゃない。愛猫家のイメージもない」と分析。芸人仲間やお笑いファンから強烈な自己愛をイジられることもある純さんが、猫との初めての暮らしで何を感じているのでしょうか。

 純さんらしい独特な猫愛を存分に語ってもらいました。


4年前の夏にシェルターで出会って奥さんが一目惚れ

――マロンちゃんと一緒に暮らし始めたきっかけを教えてください。

 今5歳の息子がいるんですけど、夫婦で下の子を作らないと決めていたんです。ただ、息子にきょうだいがいないのはかわいそうであるかもしれないと。憂いているわけではないですけど、そういう話の中で奥さんから「猫を飼うのはどう?」と提案されたんです。奥さんは元々、実家で犬を飼っていたみたいで。ただ、動物は悲しいお別れもあるし、お世話もちゃんとしなきゃいけない。家族として一緒に暮らすことを考えると、簡単に飼うとは言えないというベースが奥さんの中ではあったみたいです。

 僕もちっちゃい頃、犬を飼ったことがあったんですけど、全然お世話をしなかった後悔があったので、今までペットを飼うという選択を持ったことはなかった。けど、息子にとっていいかもしれないと思って。

 一度、猫と触れ合ってから決めようということで、奥さんと息子2人で保護猫カフェに行ったら、息子が楽しそうにしてたらしく「やっぱり飼ってみない?」と再度提案されたので、いろいろと調べて保護猫シェルターに3人で見学に行きました。

――そこで出会ったんですね。

 マロンは顔がすごくきれいなんです。奥さんが一目惚れして。2021年の夏くらいで、マロンは生後3、4カ月だったかな。ちょっとハゲてて、耳のところに炎症がありました。で、施設の方から保護猫を引き取るための説明を受けたんですけど……あれ、すごく長いですよね。いや、長いっていう表現は本当によくないんですけど、3時間くらいあったんです。

 僕、落ち着きがなくてじっとしていられないタイプなので、話を聞いてる途中で頭がぐるぐるしてきちゃって。このままだと奥さんに迷惑かけるなと思って、施設の方の話を聞きながらほかの猫を見たりして、できるだけ悪く見られないように気を紛らわせました。

 大事な命を引き取るので、説明が必要なことはもちろんわかってるんです。ただ、人間の集中力の限界ってあるじゃないですか。

――確かに長時間、人と対峙するのはエネルギーがいりますよね。

 僕、朦朧としちゃって(笑)。施設の方がプレゼンしてくれたことは、これから家族になろうとしている猫のことを120%思ってのことだから、取りこぼしてはいけない言葉ばかりなんです。猫のことを大切に思っているんだなっていうのはすごく伝わりましたし、勉強になりました。で、2時間くらい話を聞いたあと、「ここから(譲渡して良いか)判断させてもらいます」って言われて。施設のスタッフさんが4、5人が集まって会議してくれた結果、引き取れることになりました。決まった時はほっとしましたね。

2025.07.06(日)
文=高本亜紀
撮影=釜谷洋史
写真=純(しずる)