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
お笑い芸人さんに一緒に暮らすペットを紹介してもらう「お笑い芸人の“うちの子”紹介」。第39回はあらぽんさん。みやぞんさんとのお笑いコンビ・ANZEN漫才を解消後、ひょうたんアーティストとしても注目を集めています。
あらぽんさんは2013年から2019年まで、アビシニアンのオス・シリウスくんと暮らしていました。知り合いから「飼えなくなった」と連絡が来た時、10歳くらいだったにもかかわらず成猫の半分くらいしか体重がなかったそう。あらぽんさんはシリウスくんを引き取りパートナーとともに惜しみなく愛情を注ぎ、腕の中で看取りました。
5年の月日が経った今、シリウスくんとの思い出を改めて振り返ってもらうとともに、シニア猫の魅力についても語ってもらいました。
子猫のように小さい老アビシニアンとの出会い

――シリウスくんが推定10歳の頃、お知り合いから引き取ったそうですね。詳しく経緯を聞かせてください。
2013年、ある知り合いから「猫ちゃんが飼えなくなった」と連絡が来ました。その子がシリウスです。年齢が10歳だと聞いた瞬間、ほかに飼い手を探すのは無理だろうなと思ったので、まず話を聞いた段階で引き取る覚悟は決めていました。
当時はお笑いの仕事がなくて、地元の足立区にある中華料理店の2階で住み込みバイトをしてたんです。そんな状況で猫を引き取っても、逆に不幸にしてしまうんじゃないかなと不安になったりもしたのですが、でも命じゃないですか。過去に犬を2匹飼っていたのですが、その子たちも縁あって里親として引き取った子たちだったので、僕に連絡が来たのが縁だと思うことにしたんです。
けれどまだその時は相手には伝えず、「写真を撮ったりしたいので一度見に行ってもいいですか?」と聞いて、その方の家に伺いました。
シリウスは10歳なのに子猫のままというか、1.5キロくらいしか体重がなくて。「えさを食べないんだよね」って言われたんですけど、そんなことある? と疑ってしまうくらい。
知り合いには「引っ越し1週間前になっても里親が見つからなければ僕が引き取ります」と伝え、結局そのまま僕が引き取ることになりました。
その時はまだ結婚してなかったんですけど、当時彼女だった奥さんも猫が好きだったので歓迎してくれました。中華料理店の店長も快諾してくれて有難かったです。

――他人の無責任な行いを、あらぽんさんが責任を持って引き受けたんですね。
その辺、難しいですよね。シリウスも過去に飼っていた犬2匹も、飼えなくなったのはもちろんいろんな事情があると思うんですけど、人間の都合の場合が多くて。けど、我慢してそのまま一緒に暮らしていても、わんちゃんや猫ちゃんは幸せになれないと思うんです。
中華の出前をしていると、いろんな家庭の事情を目の当たりにするんですよね。出前先のひとつにペルシャ猫みたいな長毛の綺麗な猫ちゃんがいるお宅があったんですけど、子どもが産まれたタイミングでその猫ちゃんは家の外に出されるようになって。
首輪はしているんですが綺麗だった毛は泥まみれになり、目やにだらけで鼻水もだらだら出て……あぁ、こんなふうになっちゃうのか……と。そういうこともあって、(元の飼い主と)引き離すのが一番だろうと考えましたね。

――子猫のような体型だったそうですが、その後、病院へ行かれたのですか?
すぐ連れて行きました。体重だけじゃなく呼吸もおかしかった。ひどい時はうずくまって動かなくなるし、ごはんも食べなくなるんです。病院で診てもらったら、肺に穴が空いてることがわかりました。腎臓の数値も悪かった。元の飼い主が「ペットショップで売れ残っている子を買った」と言っていたので、最初から体が弱かったのかもしれないですが……。
病院でレントゲンを撮ってもらうと、いろんな傷も出てきました。自然治癒してると言われたんですけど、僕が連れてきてるから疑われるんですよ、先生に。
2025.02.22(土)
文=高本亜紀
撮影=鈴木七絵