山田杏奈さんとネストローブのものづくりの源泉に触れるべく、徳島工場を訪問。リネン天然染めギャザーブラウス(OFF WHITE) 30,800円、リネンデニムワイドジーン 33,000円/ネストローブ
心地よさを感じる場所=ネストと成熟した大人にこそ似合うローブという言葉から名付けられたネストローブ(nest Robe)。その由来の通り、創業当初から、リネンやオーガニックコットンをメインとした天然素材を使い、国内でじっくりと時間をかけたものづくりにこだわってきました。
日本の職人たちのクラフツマンシップが宿る服は、贅沢に手間暇をかけられていながらも、心地よく日常に溶け込みます。俳優・山田杏奈さんも、自身で着用する服を選ぶときは、何よりも着心地のよさを重視しているそう。そんな山田さんと“心地よさの源泉”を探しに、ネストローブの徳島工場を訪ねました。
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徳島県美馬市の豊かな自然と共鳴する、ネストローブの美学
生活に、緑に、静かに溶け込む天然素材のワードローブ
豊かな自然に恵まれた、徳島県美馬市。市を囲む山は季節ごとに姿を変え、春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、そして冬は雪化粧をした姿も。リネン天然染めギャザーブラウス(OFF WHITE)30,800円、リネンデニムワイドジーン(BLACK)33,000円/ネストローブ
一級河川・穴吹川。真っ赤な橋が目印の「天神の瀬」は、魚釣りや川遊びにうってつけのスポットとして親しまれています。リネン天然染めギャザーブラウス(OFF WHITE)30,800円、リネンデニムワイドジーン(BLACK)33,000円/ネストローブ
一級河川・穴吹川。真っ赤な橋が目印の「天神の瀬」は、魚釣りや川遊びにうってつけのスポットとして親しまれています。リネン天然染めギャザーブラウス(OFF WHITE)30,800円、リネンデニムワイドジーン(BLACK)33,000円
穴吹川の支流・閑定谷川の落差33mの閑定の滝は、自然の力強さを目の当たりにできるスポット。複数の段に分かれて流れる段瀑と、緩やかに流れる渓流瀑が並んで落ちる、日本でも珍しい滝だとか。リネン天然染めギャザーブラウス(OFF WHITE)30,800円、リネンデニムワイドジーン(BLACK)33,000円
豊かな自然に恵まれた、徳島県美馬市。市を囲む山は季節ごとに姿を変え、春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、そして冬は雪化粧をした姿も。リネン天然染めギャザーブラウス(OFF WHITE)30,800円、リネンデニムワイドジーン(BLACK)33,000円
夏の穴吹川には、水遊びを楽しむ人で賑わう。遠くまでよく見える、ひらけた空間が気持ちいい。リネン天然染めギャザーブラウス(OFF WHITE)30,800円、リネンデニムワイドジーン(BLACK)33,000円
https://store.nestrobe.com/nestrobe/itemdetail?ItemID=01253-1080&sci=2
ネストローブの徳島工場が位置するのは、徳島県のほぼ中央にある美馬市。周囲は荘厳な山に囲まれ、日本百名山のひとつに数えられる剣山と一級河川・穴吹川を有します。「うだつの町並み」には、江戸中期から昭和初期までの時を刻む、伝統的な家屋がずらり。
徳島県の自然と向き合う環境でのものづくり
地産地消を目指す徳島工場には、母国を離れてやってきた研修生たちの姿も。敷地内の畑では、食料となるオーガニック野菜を育てている。自然を身近に感じながら、ものづくりと向き合える環境だ。
太陽光発電の電力も活用し、工場を運営している。
そんな美馬市では、四季の移ろいがはっきりと感じられます。時間が緩やかに流れ、人々の営みも自然のリズムと調和しています。この美馬市の風土は、ブランドの理想とする“長く愛される服づくり”に深く通じています。都会の喧騒から離れた静かな環境で、天然素材と向き合い、一針一針に心を込める。ネストローブにとって、徳島工場は “自然と人の調和”の中から生まれるものづくりを体現する場所なのです。
時間をかけて作り、長く愛される服を目指す
“SLOW MADE IN JAPAN”
ネストローブ徳島工場を訪れた山田さん。服が仕立てられる過程に、山田さんも釘付け。リネン天然染めギャザーブラウス(C・GREY) 30,800円/ネストローブ
ネストローブ徳島工場を訪れた山田さん。服が仕立てられる過程に、山田さんも釘付け。リネン天然染めギャザーブラウス(C・GREY) 30,800円/ネストローブ
ネストローブ徳島工場を訪れた山田さん。服が仕立てられる過程に、山田さんも釘付け。リネン天然染めギャザーブラウス(C・GREY) 30,800円、リネンデニムワイドジーン(BLACK) 33,000円/ネストローブ
ネストローブ徳島工場を訪れた山田さん。服が仕立てられる過程に、山田さんも釘付け。リネン天然染めギャザーブラウス(C・GREY) 30,800円、リネンデニムワイドジーン(BLACK) 33,000円/ネストローブ
ネストローブ徳島工場を訪れた山田さん。服が仕立てられる過程に、山田さんも釘付け。リネン天然染めギャザーブラウス(C・GREY) 30,800円/ネストローブ
ネストローブは、1950年からアパレル向けの縫製工場を営んでいたネキストが、2005年に創設したブランド。当時はちょうど国内市場の服の単価が下がり、激しい価格競争の時代に突入した頃。それでも、上質なものを、納得して買ってくれる人の手に届ける。自社の信念を貫くことを決めて、ネストローブはスタートしました。タイムレスで丈夫な、長く着られるリネンやオーガニックコットンなどの天然素材を用いることは、当時からブランドの核をなす大切な要素のひとつです。
現在も続く、創業時からの思いはフィロソフィーとして掲げる“SLOW MADE IN JAPAN”に込められています。長く継続できる製造環境で、効率を重視せず丁寧に服を作る。そうして作られた服は、着る人の生活の中で緩やかに体に馴染み、美しく変化します。
作るのにも着るのにも、長いスパンを想定して、循環するものづくりに心を注いできたネストローブ。ブランドは今年、20周年を迎えます。
裁断には、徳島工場が2019年に新設した際に導入された、全長15mの延反機と自動裁断機(CAM)を用いる。以前より多くの生地を一気に扱えるようになったにもかかわらず、1枚1枚の仕上がりの精度を維持するために、上限より量を減らして裁断しているそう。
パターンを知れば、服の見え方も変わる。山田さんは、改めて自身のまとうネストローブの袖を見つめます。
バンドとして再利用される裁断くず。集められた裁断くずが偶然に織りなすバリエーション豊かな柄たちと、環境への配慮に心がときめきます。
工場での製造過程においても、“SLOW MADE IN JAPAN”の美学が宿った、さまざまな取り組みが見られます。パターンを引く段階から、裁断くずができるだけ出ないようにパーツを詰めてデザインするのもこだわりのひとつ。「一般的には3割がくずになってしまうところを、2割にまで抑えられています」と職人さん。生じてしまった裁断くずは完全循環型プロダクト「アップサイクルリノ」の材料になるほか、工場内でも利活用しています。
山田さんは、幼少期にお母さまが手作りの服を作って着せてくれたことから、服づくりにも関心があるといいます。自ら作り方を調べてパターンを引き、手縫いでワンピースを作ったこともあるのだそう。「こんな大規模な服づくりの現場を見るのは初めてでした。さまざまな工程を経て生まれた服が人々の手に届く。私たちの手に洋服が辿り着くまでにどんな背景や思いがあるのか、精神性も含めて感じることができました」
縫製においては、大まかに衣服を形づくる工程と、ボタンホールや襟、フリルなどの細部を作る工程があり、それぞれのパーツの縫製の技術に長けた職人が担当します。
縫製は、ノッチと呼ばれる印に沿って行われる。ネストローブの服にはノッチが多いのも特徴。ノッチを増やすと、作業の工程が増え、縫製も複雑に。それでも、手間を惜しまないことで、シルエットと着心地が格段によくなるのだそう。
最後に糸の始末をし、一着ずつタグをつける。こうして、たくさんの職人の手を介して、ネストローブの服は生まれる。
2025.08.23(土)
文=福永千裕
写真=杉山拓也
ヘアメイク= 菅長ふみ
スタイリング=中井彩乃