
新潟県の北西部、日本海に浮かぶ佐渡島は沖縄本島に次ぐ大きさを誇る本州最大の島。特別天然記念物のトキが生息するなど、豊かな自然が息づくこの島は、かつて金の採掘で栄え、日本全国から多くの人が集まる鉱山都市でもありました。2024年には当時の佐渡金銀山の歴史的価値が認められ、世界文化遺産に登録。“世界遺産の島”へとなった佐渡。
「史跡 佐渡金山」と「北沢浮遊選鉱場」を巡り、佐渡の大地の成り立ちとその歴史を肌で感じた俳優の山田杏奈さん。次は佐渡金銀山から産出される佐渡ならではの鉱物が含まれた土を使った佐渡を代表する焼物「無名異焼(むみょういやき)」を体験しました。
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無名異焼の窯元「北沢窯」へ

訪れたのは北沢浮遊選鉱場のすぐ隣にある北沢窯。ここは、無名異焼と呼ばれる佐渡ならではの土を用いた焼き物に出会える工房です。
「無名異」というその独特の名称は原料の土によるもの。佐渡金銀山で産出される酸化鉄が多く含まれた赤土のことを指し、古くは漢方薬としても重宝されていたこの土は貴重なものとされ、島外への持ち出しが固く禁止されていたほど。
江戸時代中期に佐渡奉行により佐渡産の焼物が奨励され、そうした動きの中で、無名異焼も江戸時代後期に誕生しました。今もなお、無名異土は島外不出。その独自性から佐渡特有の文化として評価され、2024年には国が定める「伝統的工芸品」にも指定されました。

現在は10の窯元で作られている無名異焼。北沢窯は1974年の開窯で、二代目の其田和彦さんが窯主を務めています。今回、無名異焼について教えてくれた其田弘輔さんは窯主である和彦さんのご子息。日々、無名異焼の新たな可能性を追い求めています。


2025.05.24(土)
文=CREA編集部
写真=杉山拓也
動画=さどやニッポン
ヘアメイク= 菅長ふみ
スタイリング=中井彩乃