“ジェネリックAirTag”にはないスゴい機能も

 Androidの「Find Hub」の特徴の一つに、「付近を探す」という機能が挙げられます。これはスマホと本製品の距離がおおよそ10メートル以内になったときに、その距離を4段階で表示できる機能です。例えば、バッグや引き出しの中に入っていて目視で見つからない場合も、この機能を使えば、行ったり来たりすることなく、スムーズに発見できるというわけです。

 この機能は、AirTagにおけるUWB(Ultra Wide Band)を用いた距離と方角の表示機能に似ていますが、UWBを搭載していなくても利用できるのが特徴です。以前の記事で紹介したダイソーの“ジェネリックAirTag”など、Appleの「探す」に対応したAirTag互換製品は、こうした機能がありません。

 そのため、ほんの目と鼻の先にタグがある場合でも、マップアプリによる広域表示でしか探せず、他の荷物に紛れ込みやすいカギや財布など小物を探すには、極めて不向きです。しかし本製品はこの「付近を探す」に対応していることから、こうした小物の検索にも威力を発揮します。

 もっともUWBが使えるAirTagとは異なり、距離が具体的なメートル表示でなく、また方角表示はサポートしないなど、やや劣る部分もあるのですが、同等機能が用意されていないAirTag互換製品と比べると、実用性ははるかに上です。

そこそこ大きな「欠点」も……

 位置情報の更新時間についても検証してみましょう。以前の記事で紹介した“ジェネリックAirTag”と話題になっているダイソーのAirTag互換製品は、純正品と比べて位置情報が更新されるまでの時間が長く、リアルタイムでの追跡に適していないことを指摘しました。本製品がどうなのかは気になるところです。

 そこでダイソー製品のときと同じく、本製品を車に乗せて高速道路を移動中に、位置情報を外部からリモートで参照する実験を行ってみました。結果からいうと、AirTagは最長でも数十分間隔、ダイソー製品でも2~3時間間隔で位置情報が書き替わるのに対し、本製品は数時間経っても書き換わらないことがたびたびありました。

 数時間にわたって位置情報が更新されないとなると、外出先で夜中に荷物を紛失した場合、朝になるまで位置情報が書き換わらず、その間に誰かに持ち去られてしまうことも起こり得ます。また引ったくりに遭って持ち去られた荷物の位置情報を、リアルタイムで参照しながら警察と一緒に追跡するといった使い方も、まず「望み薄」です。

 この辺り、移動時のスピードや、経由して位置情報をクラウドに送信するAndroidデバイス側の設定など、複数の要因が絡んでいる可能性はありますが、AirTagのスムーズさに慣れてしまっていると、ストレスに感じるのは事実です。本製品の導入にあたっては、これらを許容できるかが、一つのポイントとなりそうです。

2025.09.07(日)
文=山口真弘