金沢から電車で約20分、加賀温泉駅から開湯1300年という歴史を誇る山代温泉までは車でわずか10分! さらに足を延ばせば渓谷美が楽しめる山中温泉に、雄大な白山を望む片山津温泉と、近いエリアに3つの個性的な温泉街が集まる北陸髄一の温泉郷です。

 温泉の魅力もさることながら、フーディ絶賛のブランドずわい蟹「加能ガニ」が水揚げされる橋立港も近距離で、グルメ垂涎の食材や料理も目白押し。加賀藩のお殿様や文人墨客も訪れた歴史ある温泉地だけに、九谷焼や山中漆器などアートな伝統工芸品に出合えるスポットもたくさんあって、一生ものにふさわしい逸品を手に入れることもできます。

 さらに嬉しいのは、旅前・旅先でふるさと納税ができ、返礼品が加賀市内のあちこちで使える電子商品券としてもらえる“旅先納税”があること。加賀市が行っている旅先納税では、約80の加盟施設で利用できる「加賀旅先納税e街ギフト」が返礼品としてもらえ、申し込みもオンラインでカンタン。旅行前でも現地で寄付しても、返礼品としてすぐ電子商品券がもらえるので使い勝手は抜群です。名旅館の宿泊費や漆器のお買い物、ランチやお土産など、さまざまなシーンで大活躍!

魯山人ゆかりの山代温泉で、源泉かけ流しと美食、アートを堪能する、山代 湯の曲輪「あらや滔々庵」

 2025年に開湯1300年を迎えた、北陸屈指の温泉地「山代温泉」。カラスが羽根の傷を癒していたという開湯伝説が残るだけに、肌あたりのやわらかさはまさに極上! 無色透明のクセのない泉質で、湯上りの肌は吸い付くようなしっとり感が楽しめます。

 山代 湯の曲輪「あらや滔々庵」は、そんな極上の湯が源泉かけ流しで楽しめる老舗の温泉宿。前田家歴代藩主の命を受けた湯番頭として山代の湯を守ってきた旅館で、800年以上の歴史を重ねています。有栖川宮家など皇族方のほか、稀代の芸術家・北大路魯山人や文豪など、この宿を愛した文人墨客は数知れず。

 3つの大浴場はもちろん、客室付きの半露天風呂もすべて源泉かけ流しという贅沢さ。滔々とあふれながら、湧きたての新鮮な湯が常に浴槽を満たしていて、湯の流れるせせらぎのような音が心までをも癒してくれます。

 宿に到着したら、さっそく趣の異なる大浴場を湯巡りしましょう。木の香りと湯の匂いに包まれる「瑠璃光」は、浴槽はヒノキ、天井や壁板はヒバ。やわらかな光が木に反射して、なんとも神秘的な風景が広がります。日本庭園の跡地に作られた「原泉閣」の露天風呂は、時折ミストが噴き出し、霧の立ち込める山中にいるかのような感覚に陥ります。特別浴室「烏湯」は源泉を五感で感じられるようにと光を極力しぼった空間で、湯に身を浸し、眼をつぶるだけでメディテーションできそう。館内の3つの大浴場は夜と朝の9時に男女入れ替えなので、すべての温泉を体験することができます。

加賀の粋を極めた食と、地元作家の器が響きあう“口福眼福”な美食体験

 食前酒は、館主おすすめの季節の地酒でまずは一献。先付にお椀、お造りと、正統派の和懐石仕立てで献立は進みますが、胡麻豆腐に無花果、酒煎りした鮑にシャインマスカットなど、ご当地の果実が巧みに盛り込まれ、和食の新しい魅力を感じさせてくれます。

 丸茄子の焚合せや加賀太胡瓜の香の物など、伝統野菜もふんだんに。食事と汁は、のど黒の身と山葵をのせた小どんぶりに、魚の姿は一切見えないのに濃く豊かな魚のうまみを感じるのど黒のあら汁。のど黒丼をそのまま食べても、あら汁をかけて茶漬けにするのもよし。見目麗しい料理が次々と登場しますが、けれんみのない和の正統な味わいで美食家たちの舌をも魅了します。

 さらにうれしいのは、器の美しさ。九谷焼や山中塗りなど地元作家の器を中心に、名旅館に代々伝わる希少な器や魯山人の写しなど、この宿でしかなしえない圧巻の器遣い。食べ終わった後も鑑賞で盛り上がる魯山人好みの美濃焼など、舌も目も五感を刺激する“口福眼福”なひとときが過ごせます。

北陸の冬の王者・ずわい蟹の中でも、最上とされる「加能ガニ」を食べ尽くす

 特に橋立漁港で水揚げされた蟹は身の入り・質ともに最上とされています。シーズン中(香箱は11月~12月末、加能は11月~翌3月20日)は「あらや滔々庵」の館主自ら橋立港に足を運び、その日水揚げされた高鮮度の加能ガニを目利き。現地だからこそ味わえる花咲くようなお刺身に、身の繊維が際立つ香ばしい炭火焼き、しっとり甘い茹で蟹、そして蟹味噌と、さまざまな調理方法で楽しめます。

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