漆器と温泉の街、山中温泉へ。心をゆさぶる器に会いに行こう

 山代温泉が九谷焼ゆかりの地だとしたら、山中温泉は漆器の生まれる町。石川県では漆器の3大産地として「塗りの輪島」「蒔絵の金沢」、そして「木地の山中」と言われています。木地(きじ)とは、漆器の元となる木製の素地(そじ)のこと。山中漆器のろくろの技術は日本一と称されており、ぴたりと蓋が閉まる茶筒や、ごく薄く仕上げた酒杯、繊細な模様を装飾する加飾挽きの伝統技法など、本当に木から作っているの?と疑ってしまうほど精巧な器に仕上げています。

 モダンな漆器が並ぶ「GATOMIKIO/1」は、1908年創業の木地問屋「我戸幹男商店」の直営店です。高度なろくろ技術を受け継ぐ山中漆器の伝統を踏まえつつ、現代のライフスタイルに添うようデザインされた漆器は、優美な曲線を描く研ぎ澄まされたフォルムと、木目模様を生かした自然な風合いが楽しめます。

 乾燥による歪みが出にくい堅牢な器は、軽く、やわらかな手触りも魅力です。熱の伝導率が低いので、熱々の汁を注いでも持ちやすく、ぬくもりだけがそっと手の平に伝わります。
 感度の高いセレクトショップなど、全国での取り扱いはありますがすべての商品がそろい、手で触れて選べるのはここだけ。見て触れて、長く付き合える相棒をじっくりと探して。

木々の中に佇む「東山ボヌール」で、文人たちにも愛された渓谷美を満喫

 温泉街に沿うように流れ鶴仙渓も山中温泉を代表する名所のひとつ。1.3Kmの遊歩道が整備されており、総檜造りの風雅なこおろぎ橋や、錦を広げたような紅葉の眺めなど、まさに風光明媚な景色が広がります。

 鶴仙渓の中に佇む「東山ボヌール」は、大正ロマン風の石橋「黒谷橋」のたもとに位置する人気のカフェ。木々と共存するかのように建つ、風情たっぷりの建物も素敵です。

 赤ワインにひと晩漬け込んだA5の国産和牛をとろりと煮込んだビーフシチューが名物で、シチューはレトロなソースポット、バターライスは熱々のスキレットで提供されます。軽く焼かれてほんのりおこげができたバターライスは香ばしく、ズッキーニやジャガイモがのっているのもかわいい!

 お酒好きであれば、ラムキャンディスケーキをぜひ。ラムレーズンやナッツをぎっしり混ぜ込んだ焦がしバターが香るケーキに、ダークラムをたっぷりかけて熟成。食べる直前にコーヒーシュガーをまぶしてキャラメリゼするので、表面はパリパリ、頬張ればラムがじゅわーっと広がる大人なケーキです。ワインと一緒に食べてもよく、冷凍でテイクアウトすることも可能です。

GATOMIKIO/1
我戸幹男商店直営店

所在地 石川県加賀市山中温泉こおろぎ町ニ3−7
電話番号 0761-75-7244
営業時間 9:00~17:00  
定休日 木曜、不定休あり
アクセス JR加賀温泉駅より車で16分
https://www.gatomikio.jp/

東山ボヌール

所在地 石川県加賀市山中温泉東町1丁目ホ19-1芭蕉堂前
電話番号 0761-78-3765
営業時間 10:00~16:00(ランチ11:00~14:00L.O.)  
定休日 木曜
アクセス JR加賀温泉駅より車で15分
https://higashiyama-bonheur.jimdofree.com

周遊バス「CANBU S(キャン・バス)」で、温泉巡りに興じよう

 3つの温泉街を制覇したいという人は、加賀温泉郷の見どころを巡る周遊バス「CANBU S(キャン・バス)」がおすすめです。JR加賀温泉駅を起点に、ルートは3つ。山代温泉や山中温泉、九谷焼窯跡展示館などを巡る「山まわり線」。片山津温泉や橋立漁港、道の駅などを巡る「海まわり線」。そして、JR加賀温泉駅から片山津温泉を通り、約30分で空港にアクセスできる「小松空港線」。

 1回乗車は、ワンコインの500円。レンタカーを利用しないひとり旅でも行動範囲をぐーんと広げることができます。目的地や時刻表はHPで事前にチェックして、効率よく加賀温泉郷を遊びつくそう。

加賀周遊バス CANBUS(キャン・バス)

料金 1回乗車券(大人)500円
http://www.kaga-canbus.jp/
※CANBUSの乗車料金には「加賀旅先納税e街ギフト」はお使いいただけません

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