俳優、モデル、そしてアーティストと、多方面においてその才能を発揮し続けているSUMIRE。その彼女が、このたび、絵本作家としてデビューを果たした。40作以上の著書を持つ人気絵本作家・長田真作の文章を元に、SUMIREが絵を描いたその絵本の名は、『ほろほろもみじ』(303BOOKS)。もみじの落ち葉から生まれたこびとのリリアが、森に住む動物たちと出会い、心温まる物語を繰り広げる。
本書の刊行を記念する対談の相手として招かれたのは、彼女の父・浅野忠信の母で、父方の祖母に当たる浅野順子。この祖母もまた、モデル、画家として活躍するマルチな才能の持ち主である。CREA WEBで連載された音楽家・近田春夫との対談では、波瀾に富んだその半生が惜しげもなく開陳され、大きな話題を呼んだ。
孫と祖母として、アーティストとアーティストとして、互いのクリエティビティが響き合うこの二人ならではの対話をお届けする。(前後編の後編/はじめから読む)
「ばあちゃんは目立つから、ステージからでもわかる(笑)」
順子 SUMIREは、今年の10月から、俳優としての名義を、本名の「佐藤菫」に改めたんでしょ。
SUMIRE そう。モデルやアーティストとしては、SUMIREのまんまなんだけど。
順子 なるほど。だから、『ほろほろもみじ』の著者としてのクレジットはSUMIREのままなのね。改名には、何かきっかけがあったの?
SUMIRE やっぱり、ローマ字表記だとアーティストっぽさが強すぎるかなって。役者としては、本名の方がしっくりくると思う。
順子 そうね。弟のHIMI君も、ミュージシャンとしてはローマ字のファーストネームで活動してるけど、俳優としては「佐藤緋美」を名乗ってるもんね。それに、単にSUMIREだと、同名の人が割といて、検索しづらくはあるのよ。
SUMIRE ここから、俳優として再スタートできればと思ってる。
順子 俳優、モデル、そしてアーティスト、三足の草鞋を履きこなすってのは、ちょっと大変じゃないの?
SUMIRE バランスを取るのは、なかなか難しいかも。映画やドラマの撮影が入っちゃったりすると、どうしても絵を描く時間が削られるからね。今年は、絵本も出したし、絵の展示も行ったし、特に絵に力を注いだ年になったと思う。
順子 私、SUMIREの仕事は、どれをとっても大好きなのよ。
SUMIRE いつも応援してくれてるもんね。舞台挨拶があったりすると、決まってばあちゃんは見に来てくれてる。目立つから、ステージからでも分かるよ(笑)。
順子 大学に入りたての頃、「装苑」の専属になったのが、モデルとしての本格的なデビューだったよね。あの号が出た時は、発売当日にマンションの向かいのコンビニに買いに走ったのを覚えてる。そして、すぐ仏壇に供えたわよ(笑)。
SUMIRE そんなことしてたんだ。
順子 ええ。今日もらったばかりの『ほろほろもみじ』も、さっそく仏壇にお供えするわ。SUMIREのひいばあちゃん、つまり私の母もきっと喜んでくれるわよ。
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- 文=下井草 秀
写真=佐藤 亘
ヘアメイク(SUMIRE)=Hanna










