ようやく“治療が終わった”と思っていた――けれど乳がん手術後には、放射線治療、抗がん剤、ホルモン療法と続く長い治療が待っていた。体に起こる副作用、髪の喪失、心の揺れ……それでも「日常を取り戻す」ために歩みを止めなかった。ライター自身が語る、放射線から抗がん剤治療までのリアルな記録。
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手術が終わっても、まだ治療は続く
手術が終わったとき、治療はすべて終わったような気がしていた。しかし主治医から「乳房を全摘しない場合は放射線治療が標準」との説明を受け、理由を知る。がんを取りきったように見えても、目に見えない細胞が残っている可能性があるからだ。
私は「標準治療を受けるのがいちばん確実」と考え、治療開始の時期を相談。病院によっては数カ月先まで予約が埋まっていることもあると聞いたが、幸運にもその場で検査予約を取ることができた。
毎日通う大変さと、体に残る“変化”
治療は手術から約1カ月後の1月19日からスタート。その1週間前、治療計画用のCTを撮り、どの位置に、どれだけ照射するかを細かく決めた。
放射線治療は平日に1日1回。機械のベッドに横になり、数分間照射を受けるだけだ。私が受けたのは新しい方式で、全16回。旧式では25回必要だったが、照射の精度が高まり、より少ない回数で済むようになっていた。
1人あたりの治療時間はおよそ10分。1時間に5~6人が順番に照射を受ける。私は早めに病院へ行き、午前9時の一番目の枠で受けるようにしていた。それでも毎日通うのはやはり大変だった。
回数を重ねると皮膚が少しひりひりした。左手が上がりにくい感覚もあり、「手術前と同じではない体になったのだ」と改めて気づかされた。
