気軽に受けた検診で「ほぼがんであろう」という衝撃の診断

――息子さんたちの協力もあり、仕事も順調に増えていった2011年の年末、46歳のときにたまたま受けた検診で子宮頸がんが見つかったとのことですが、この「たまたま受けた検診」というのは。

古村 仕事でナミビア共和国に行くことになったんです。その頃私は海外へ行くとホルモンバランスを崩してお腹が痛くなることがあったので、事前に病院でお薬を処方してもらおうと、近所の産婦人科に行きました。すると受付の方が「古村さん、3番目のお子さんを産んでから14年、検診を受けてませんよね。すぐ終わるしついでに受けてみたら」と勧めてくださって。「じゃあ、ぜひ」と軽い気持ちで検診を受けました。

――検査を受けたきっかけは、ふとしたことだった。

古村 ナミビアに行く前日に検査結果が出るというので聞きに行ったら、「要精密検査」とのこと。でもそこに書かれていた「クラス4」というのは「ほぼがんであろう」という数値でした。「別の大きな病院で検査を受けてください」と言われて、「もしかしてこの検査結果、間違ってるんじゃない?」と思ったんです。それぐらい自覚がなかった。痛みも症状もまったくなかったですし。

「もう明らかに膿んでいるような状態で、変色もしている」

――それでも翌日、ナミビアに行かれたんですね。

古村 行きました。かなり落ち込みましたけど、まだ自分のなかで半々なんですよ。「私がんなんだ」という気持ちと、「検査の結果、間違いだよね?」という気持ちと。帰国してすぐに精密検査を受け、結果を聞きに診察室に行くと、自分のがんの部分の写真を見せられました。もう明らかに膿んでいるような状態で、変色もしている。結果は子宮頸がんのⅠB1期というものでした。

――それはどういう状態なのでしょう。

古村 一応「初期」という話でした。だから私も、1段階目の手術で終わると思っていたんです。ところが12年2月に受けた「子宮頸部レーザー円錐切除術」でがんが何ミリか縦に浸潤していたことがわかって、子宮を全摘出しなければならないと言われました。

――寝耳に水ですよね。

古村 思わず「先生、子宮を取ったら私は何者になるんですか?」と聞いたのは覚えています。先生は何か答えてくださったんですけれど、何を言われたか覚えていないほど、気が動転していました。年末の検診で「要精密検査」と言われてから、わずか2カ月ほどの間に進行していたようで、自覚症状も何もないのに子宮を全摘することになってしまうんですから、がんは怖いなと思いました。

2025.08.13(水)
文=佐野華英