「ぶ厚い眼鏡にボロボロの格好なのに声をかけられて」“38年前の朝ドラヒロイン”古村比呂(59)が語る、視聴率40%『チョッちゃん』の大きすぎた反響〉から続く

  38年前の連続テレビ小説『チョッちゃん』の再放送で注目が集まる古村比呂さん(59)。21歳で掴んだ朝ドラヒロイン役を経て、1980年代後半から一躍人気女優になった彼女は、その後波瀾万丈な人生を歩むことになる。

  結婚、3人の息子の出産と子育て、離婚を経て、子育てが一段落し、これから仕事に専念しようという矢先に、がんが発覚した。古村さんが、これまでの歩みを語ってくれた(全3本の2本目/続きを読む)。

――1987年の朝ドラ『チョッちゃん』の主演を経て、 1992年に結婚されるまでの5年間は相当忙しかったですか。

古村比呂(以下、古村) その頃は記憶がほぼないほど、ひたすら仕事をしていましたね。『チョッちゃん』が終わった後1年半ぐらいの間がいちばん忙しかったかな。ピークを過ぎて少し余裕が出てきてからは、なるべく合間に休みをもらって旅行をしたりして、リフレッシュするようにしていました。旅が好きなんですよね。

「子育てと仕事の両立は思うようにはいきませんでしたね」

―― 26歳のときに布施博さんと結婚されて、その年に長男、翌年に次男を出産されました。年子の育児はとても大変だったのでは。

古村 振り返ってみて、自分でもよくやったなと(笑)。実は長男を産んだ後、一度仕事に復帰しようとしたんですが、身体を壊してしまって。免疫が落ちていたんでしょうね、化膿性急性扁桃炎で入院することになり、出演が決まっていた舞台をキャンセルすることになりました。やはりお芝居は、自分の体勢が万全でないとご迷惑をかけてしまう。子育てとの両立は難しいと痛感しました。

――復帰の過程でご家族のサポートなどはあったのでしょうか。

古村 長男が4歳になるあたりから、母にサポートしてもらいつつ教育番組やナレーション、朗読劇などのお仕事は少しずつやり始めました。しかし97年に三男が生まれ、また子育てに専念する日々。ドラマ復帰は私が34歳のときで、三男が2歳になった1999年の『ズッコケ三人組』(NHK教育)、7年ぶりでした。その後も子育てと仕事の両立を試みましたが、なかなか思うようにはいきませんでしたね。

――2006年に『フィガロの離婚』で7年ぶりに舞台に復帰され、準主役をつとめられました。

古村 この頃やっと子育てが一段落して、私も40歳という節目で、昔お世話になった演出家・鵜山仁さんの舞台ということもあり、「やってみよう」と。この舞台をきっかけに、また徐々にお芝居のお仕事をさせていただくようになりました。

――ライフイベントとしては09年4月、43歳のときに離婚されました。その後は一家の主として「仕事モード」にマインドが切り替わっていった感じでしょうか。

古村 もう働くしかないですもんね。離婚した年、長男は高2、次男が高1、三男が小6で私が3人とも引き取りました。息子たちは料理が結構好きで、私の仕事が増えはじめてからは、自分で食べたいものは自分で作るというスタンスでいてくれたのが助かりましたね。「お肉焼いてドン!」みたいな「男の料理」でしたけど(笑)。

2025.08.13(水)
文=佐野華英